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2009年7月 9日 (木)

花火の夜の物語 98

 花火の夜の物語 97からつづく
 Yさんは駐車場の裏のほうを見ました。
「店長、じゃあトラッシュルームに直接持っていきましょう」
トラッシュルームというのは、業者さんに収集してもらうためのゴミを置いておく倉庫です。

「店長、その袋をこっちに貸して下さい」
そう言ってYさんは僕の手からコンビニ袋を奪い取りました。
「私は、このままバックドアに向かいますから、店長は表から入って裏の鍵を開けて下さい。お願いします。さすがにこの格好じゃ店内を通るのは恥ずかしいですから」
そう言って、にっこりと笑いました。

 恥ずかしいって、同じような格好の僕はどうなるんだと思いましたが、どうせどちらかが表から入るしかないのです。
とすればその役割を彼女にやらせるわけにはいかないでしょう。

「店長、まだ水撒きは続けるんですか?」
「いやいや、今日はもうやめにするよ」
「じゃあ、これも片付けないと」

 そう言って彼女は、僕が使っていたホースのリールに手をかけました。
「これも一緒に持っていきますよ」
「だいじょぶか? それ、けっこう重いぞ」
「平気です。まず、全部巻き取らないと」

 僕がリールのハンドルを回し、Yさんは駐車場に伸びたホースのねじれを戻しながら、たぐり寄せました。
「思いっきりねじれているじゃないですか? もっと計画的にホースを取り回して下さいよ、店長」

 Yさんは口ではそう言っていましたが、楽しそうでした。

 ホースの巻き取りが終わり、僕は腰を伸ばして両手をパンパンとはたきました。
「さっ、それじゃあ僕はバックドアに向かうから、君はこれを持って裏に行って……」

 その時僕は、背中に気配を感じました。
あわてて振り向くと、そこには両手を腰にかけて仁王立ちになっている八木さんがいました。

 99につづく
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