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2009年6月25日 (木)

花火の夜の物語 96

 花火の夜の物語 95からつづく
「それって、中身が全部透けてるぞ」

 Yさんは僕のほうを、驚いたような目で見て、すぐにコンビニ袋を目の高さまで持ち上げました。

 だから、そんなに目立つ持ち方するなって。丸見えだろう……
そんな僕のこころをよそに、Yさんは平気な顔でコンビニ袋ごしに表紙に見入っていました。

 どうしようもなくそのようすを眺めていた僕は、

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 Yさんが急に目を上げて僕の方を見たのであわてて視線をはずしました。

 いや別にやましいことはなかったんですが……

「分かりました、じゃあこの袋は私が持っていきますから。店長は、他に詰まりそうなものがないか探して下さい。もしあったら、こっちの袋に……」

 やれやれ、水たまりに手を突っ込んで探すのは僕の役割か。
Yさんから袋を受け取って、そうため息をつきかけて、ふと思いました。

 Yさんの行動は、店に対する奉仕の心か、あるいは単なる好奇心か……
いずれにせよ、彼女がここにいる必要はないわけで、そう考えると側溝に手を突っ込んでまでゴミを探してくれたYさんに感謝しなければと思いました。

 付いてきてくれただけでも、ありがたいところです。

 そうは言いつつ、Yさんは自分でも残りのゴミを探すのを手伝ってくれました。

「これで、だいたいだいじょうぶですよね」

 Yさんが回りを見渡して、満足そうにうなづきました。

「じゃあ店長、帰りましょう」

 そう言ってYさんは、僕の先を歩いて店へと向かいました。
約束通り、例の雑誌の入った袋を持って。

 歩きながらYさんは、手に持ったコンビニ袋を、ビュンビュンと回し始めました。
遠心力で吹き飛ばされた水が、泥と一緒に僕のワイシャツの模様を増やしました。

 振り回すのをやめてくれと言いかけて、僕は思いとどまりました。
まあいいか…… どうせこのワイシャツはもう、クリーニングに出しても泥が落ちるかどうかわからいないし。
Yさん、楽しそうだからな。

 97につづく
 01はこちら

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