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2009年6月 8日 (月)

花火の夜の物語 91

 花火の夜の物語 90からつづく
 それはそうでしょう。
真夏の太陽に照らされて、フライパンのように熱せられた歩道のアスファルトは、素足では熱いはずです。
「当たり前じゃないか、陽が当たっているんだから」

 僕がそう言うと、足踏みしながら熱さに耐えていた彼女は、何事か思いついたらしく笑顔で僕の方に振り向きました。

「いいこと思いついた、店長」

 Yさんは両手にサンダルをぶら下げたまま、

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 軽くジャンプしました。

 着地した場所は、歩道脇に植えられた銀杏の木が作った木陰の部分でした。

「ほら、ここなら熱くない」

 Yさんは自慢げに言うけれど、そんなことよりサンダルを履いた方がいいんじゃないかと僕は思いました。
とりあえず思いつく言葉もなく、無言のままYさんの方を見ていると、彼女は銀杏の作った日陰のなかをつとつと歩いて、水たまりが一番深くなったあたりまで行きました。

 そして、何を思ったかその水たまりの中に、手に持っていたサンダルを突っ込み、洗い出しました。

「あっ、何してんだよ。駐車場に帰れば、水道があるし……」
「だって、砂が入って痛いんですもん」
「だけど、そんな汚い水で洗ったってだめだろう」
「だいじょぶ。上の方のきれいなとこで洗いますから。とりあえず、砂が取れればいいんです。それに……」
「うん……?」
「店長と私があびたのは、この水なんだし、同じことじゃないですか。これ以上汚くなることはないですって」
そう言って、彼女は微笑みました。

 大人として、その言葉に反論する理由はいくらでも見つけられましたけど、僕はYさんの笑顔に負けました。

「うん…… まあそうか」
腕組みをしながらつぶやくと、Yさんが大きな声を上げました。

「ああっ、原因発見!」

 92につづく
 01はこちら

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