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2009年4月19日 (日)

花火の夜の物語 77

 花火の夜の物語 76からつづく
 K君も頭では分かっているんだと思いますが、実際のこととなると簡単には割り切れないものです。
 『うん、よく分かるよK君』
僕は心の中でそうつぶやきました。
声に出さなかったのは、八木さんに妙な突っ込みを入れられないようにするためです。

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「そんな顔すんなって。そのうちYさんよりずっと可愛い子が現れるって。冬になれば卒業シーズンに合わせて来年の人員を採用しないといけないし。きっと彼女より可愛い子を、僕がさいようして……」

 とそこまで言って殺気を感じて八木さんの方へ視線を走らせると、すでに手遅れでした。
八木さんは心なしか目を釣り上げ、鼻にしわを寄せながら口を開きました。
「へー、ってことは今後店長は、見た目重視で採用するっていうことですか? ご立派な方針ですけど、Yさんより可愛い子なんて、そんな簡単に見つかりますか? 説得力無いですよ」

 そんなことを言うけど、ちょっと前に、「きっとYさんよりいい子が現れる」って君だって言ってたじゃないか。そう思いました。

「いや、それは言葉のアヤで……」
「単なる、気休めだと?」

 おいおい、それを言っちゃあおしまいだろう。
八木さん、君は優しいんだか、厳しいんだか分からないよ……
いったいK君に何を言いたいんだ?

「気休めというか、何というか…… つまり希望的観測で……」

もごもごと口ごもる僕の言葉に八木さんは耳を傾けることなくK君に向かって言いました。

「K君、もうごまかすのはやめようよ。冷静に見てYさんより可愛い子は、もう現れないかもしれないよ。でも正直になろうよ。イソップの話にあるじゃない。手の届かないところのブドウを「きっと酸っぱいに違いない」と自分にいい聞かせて、あきらめるキツネの話しが…… あれは私はよくないと思う。きっとあのキツネがあきらめたブドウは、おいしかったに違いないもの。事実は事実として認めた上で次のことを考えようよ。そうすればK君、君の男としての魅力はぐんとアップするって。そうなったら、もし私が高校生ならK君、君に惚れちゃったかも」

 「惚れちゃったかも」って八木君。
それはなぐさめとしても、どうなんだ?……

 78につづく
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