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2009年3月 7日 (土)

ヘイ・フィーバーの憂鬱 Ⅲ

 僕は小島さんが花粉症のおかげで困っていて、それを助けるには休ませるか、マスクをしても仕事ができるキッチンの仕事をやってもらうしかないことを説明しました。

 体調が悪いからと言って、簡単に休むわけにはいかない事情は、同じ主婦である田中さんにもすぐに分かったようです。

「だいじょうぶ、田中さんならできるって」
「そうでしょうか。メニューもすっかり変わっているし……」
「無理を言ってお願いするのだから、それなりに考えていることはありますよ」
「別に、そんなことを言っているんじゃないです」
田中さんは、きっとして言いました。

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「僕もエサで釣ろうとは思ってないです。はっきり言いますけど、この件に関しては時給のアップを考えています。ただそれは……」
「そんなの困ります」
田中さんは僕の言葉をさえぎりました。
「話しを最後まで聞いてください。時給を上げようと思うのは、田中さんが小島さんの代わりにホールをやってくれるからじゃありません。今後もホールとキッチンを両方兼任でやってくれるというのが条件です。新たに仕事を増やすのですから当然の報酬です」

 キッチンとホールの両方できる人員がいるとスケジュールが、柔軟になります。
スケジュールの作成の時点で融通が利くのはもちろん、急な欠員にも対処が楽になります。
 今はホールの人間が休めばホールの人間。
キッチンの人間が休めばキッチンの人員を探さなければなりません。
しかし、両方の職種ができる人間がシフトに入っていれば、ホールでもキッチンでも一人確保さえできれば、後は調整できます。

「もちろん基本的には今まで通りキッチン中心で働いてもらいます。ただ、いざというときにどちらでもやってくれると、スケジュールを作るにも僕が悩まなくてよくなるんです。すごく助かります。お願いできませんか? 当面、小島さんを助けることにもなるわけだし」

 田中さんは少し考えてから、口を開きました。
「分かりました、やってみます。でも、時給のアップは本当に私がホールとして働けるようになってからでいいです」

 田中さんが納得してくれたので、僕は安心しました。
「本当に助かります」
「じゃあ来週からホールをやるということで……」
「いやいや、そうと決まったら早い方がいいです。明日から行ってみましょう」
「えっ、明日からですか?」

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