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2009年2月21日 (土)

花火の夜の物語 62

 花火の夜の物語 61からつづく
「それに対してYさんは、ちょっと違います」
「納得のいく説明をしてもらおうか」
とすごんだ僕を、ちらりと一瞥して、八木さんはK君に訊きました。

「K君なら、分かるんじゃない?」

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「いや、僕も店長と同じで違いがよく分かりません」
「そうか、無理もないかな……」
八木さんは、ひとり事情が分かったような顔をしてうなずきました。
僕は、はなはだ面白くありません。

「Yさんは目の前にあるものを逃すのが嫌なんですけど、その時、先のことを考えているわけじゃないんです。そこが店長とYさんの違うところです。Yさんは、未来の自分なんて想像してません。あくまでYさんが立っているのは現在で、目の前にあるものが全てです」
「先のことを考えていないって、それは計画性のないことだな」
「計画性がないと言うより、そんなことは考える必要が無いんです。次のお店で、前の方が良かったなんて後悔することは無いって思ってますから」

 僕は話しの流が分からなくなって、八木さんに質問しました。
「どうしてそうなるんだよ、2軒目、3軒目と行って最初の店よりおいしそうな物がなければ後悔するに決まっているじゃないか」
「Yさんは、しないと思います」
「そんなばかな」
「僕もそれは違うと思います」
K君も僕と同じ意見のようでした。

「どうしてかというと、Yさんは明日も市場に果物を買いに行けると思っているからです」
「……」
「そして、そこには今日より、もっとおいしい物がきっと並んでいるんです。だから、その瞬間瞬間の判断で行動するんだと思います。たとえその判断が間違っていても後悔することはない。明日があるから……」

「いや…… それは……」

 63につづく
 01はこちら

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