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2008年12月10日 (水)

花火の夜の物語 37

花火の夜の物語 36からつづく 
立ち上がったK君は、S君の方に向き直って言いました。「Sさん、ぜひお願いします。僕ら高校生も助かるし、深夜メンバーも歓迎しますよ。ねえ、店長?」

 そりゃそうさ、K君。
確かに店も助かるし、僕も助かる。

 しかし、今君はそんな事を言わない方がいいんじゃないか。
Yさんが何を考えているのかは、このさい置いておくとして、S君だってこの場の空気は読むだろうし……

 撤回するなら今のうちだ。
君がその意思を示せば、後は僕が何とでもしてあげるから。

 K君それでいいの?

「ほらK君もそう言っているし、ぜひお願いしましょうよ」
「うん、しかし」
僕は言葉を濁しました。
「これ以上のヘルプは他にいませんよ」と、Yさん。
そんな事は分かっているんだけど。
「S君、正月にこっちに帰ってくるかどうかは、まだ分からないんだよね?」
「ええ、たぶん帰ってくるとは思いますけれど、まだ分かりません」

 それはそうです。
まだ季節は夏だというのに、何ヶ月も先の正月のことなんて決まっているわけがありません。

「でも、店長が来てほしいといってくれるようなら考えます。お世話になったし」
「じゃあ、これで決まりですね。やった。これで大みそかは、みんなで初詣に行けるし」
Yさんが、パチパチと手を叩きました。
休憩室に乾いた音が響きました。

 その「みんな」というのは、誰と誰が入っているんだろうかと僕が考えていると、休憩室のスイングドアが大きな音をたてて開きました。

 38につづく
 01はこちら

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