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2008年11月30日 (日)

花火の夜の物語 32

 花火の夜の物語 31からつづく
 スイングドアの向こうにS君の姿が見えたので、僕は緊張しました。
K君もそれに気づき、体をずらしてドアから離れました。

「おはようございます」
S君はK君の横を通り過ぎて休憩室のイスに腰を下ろし、手にしていたペットボトルをテーブルの上に置きました。
「いやあ暑い暑い」
そう言いながらS君は視線をビデオが流れているモニターの方にやりました。
「これって新メニューのビデオですか? 来月からですよね」

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「うん、かなり大幅に変わっているから、まだ僕も覚えられていないんだけど…… 来週の会議でたぶんテストがあるからそれまでに覚えないと。」
僕はS君にマニュアルを差し出しました

「テストって、店長が受けるんですか?」
質問をはさんできたのはK君です。
「そうだよ、うちのSVはテスト好きだから。毎回自作の問題を作ってくるし」
「どんな問題ですか?」
それまで黙っていたYさんは興味津々の顔でした。

「たとえば料理ごとの食材のグラム数とか、調理時間とか。とにかくマニュアル全般から出されるよ」
「成績が悪いと、どうにかなるんですか?」
Yさんが眉をひそめました。
「すぐに直接どうこうということはないけど、ボーナスの査定の参考にはされるだろうね。SV評価だから」
「いやだいやだ、大人になってもテストなんて」
僕の言葉を聞いたK君は大げさに肩をすくめました。
彼は学校の勉強は、あまり好きではないのです
「何言ってんだ。次の週には、おなじ問題をK君にもやってもらうから」
「げっ」
K君は沈黙しました。

「Sさん、そういうの得意でしょ?」
Yさんがほほえみました。
「こういうのって、テストのこと?」
「数字の記憶って、得意だって言ってたじゃないですか」
Yさんがほほえみました。

 33につづく
 01はこちら

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