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2008年11月26日 (水)

花火の夜の物語 31

  花火の夜の物語 30からつづく

 K君にオーブンの裏から何が出てきたかと問われて僕は考えました。
オーブンは開店している限り、ずっと火が入っているのでなかなか掃除ができないのです。
うちは24時間営業なのでなおさらです。
一度裏に落ちてしまうと、なかなか取ることができません。
いったい何が見つかったのやら。

「さあ、グラスとかシルバーとか……」
「当然そういうものも回収しておきましたよ。でも、もっとすごいものが」
「何?」

「それはですね……」
「いやだ、あんまり聞きたくない」
YさんがK君の言葉をさえぎりました。
「そんなこと言っても、僕には店長に報告する義務があるから」

 何が落ちていたにしろオーブンの構造上、簡単に取り出すことはできません。
その間に入ったオーダーのこともあるので、一人の時は事実上不可能です。
チャンスは今日のように人員に余裕があり、入客が少なかったときだけです。

 しかし、そんなことはいいとして、この違和感は……

 おかしい。

 あまりに自然すぎる。
いったいどういうことだと僕は思いました。
まるで何もなかったみたいじゃないか。

「ねえ、店長。何だと思います」
「まさか、レストランとしての信用を崩壊させるようなものじゃないだろうな?」
「店長としては、一番気になるのはそこですか」

 僕が、当然そうだという顔をしていると、K君は手を左右に振りました。
「でもそれは、心配ないです。えっと。大きさはですね……」」
K君は僕とYさんの方を交互に見ると、休憩室の中に視線を巡らせました。
そしてあるものに目を止めて、それを取るために立ち上がりました。

 それはどうやら休憩室の入り口の近くにあるものらしく、ドアの方に向かって進んでいきました。

 外と休憩室を仕切っているのはスイングドアです。
外側にも内側にも開くようになっていて、半分より上の部分にはガラスがはめ込まれた窓が付いています。

 僕の目にガラスを通して、向こうから歩いてくるS君の姿が映りました。

 32につづく
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