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2008年11月15日 (土)

ランチタイムの戦い 3

ランチタイムの戦い 2 からつづく
「何をあせっているんですか店長?」

キッチンとホールの間にあるカウンターの向こうから、八木さんが不敵な笑みを浮かべてこちらをうかがっていました。
「いやぁ、別に…… それより、どうやって勝負を決めるんだ?」
八木さんは少し考えて言いました。
「今日一番のピークの時に、目の前のディッシュアップカウンターの上に運びきれない料理が並んだら店長の勝ち。料理を何度も催促さるようなことがあったら私の勝ち。これでどうです?」
「誰が判定するの?」
「自己申告ということで……」
「もしピークが無かったら?」
「悲しいこといいますね。だいじょうぶ。今日は絶対に忙しくなる予感がするんです」

 さて結果はどうだったかというと、

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 最近になく入客が好調で予想をはるかに超える売上がありました。

 最初に「今日はちょっと疲れています」と書きましたが、ほんとうにヘロヘロになりました。
両サイドの二人の主婦もよく頑張ってくれましたが、さすがに許容量を超えました。

 ホールの方も状況は同じだったはずですが、八面六臂の活躍を見せた八木さんを始め、他のメンバーも普段にもまして俊敏かつ的確な動きで、終始くずれることなく持ちこたえました。

 ランチのピークが終わり、入客が途切れたとき、八木さんが僕の前にやってきて言いました。
「さあ店長、勝負を決めましょう。自己判定は?」
「不本意だけど負けを認めよう……」
「やったー! 焼肉パーティーだ」
「パーティー?」
「そうですよ、店長。まさか私だけしか連れて行ってくれないつもりですか? みんながんばったんですよ」

 隣で八木さんが休みの時にリーダーを務める高木さんが、うんうんとうなづきました。
追い詰められた僕は、言うしかありません。
「分かった、全部ひっくるめて面倒見るよ」
「はい、交渉成立!」
そう言って八木さんは在庫を数えるために、足取りも軽くバックルームの方に消えていきました。

 うーん、それにしても悔しい。
うまく乗せられたような気がする……

 ふと、カウンター越しにホールの方を見ると高木さんの姿がまだありました。
「ねえ、高木さん」
「はい?」
「少し釈然としないことがあるんだけど」
「何でしょう?」
 高木さんは「ふふっ」と笑うと、さっきまでの喧噪が嘘のような客席の方に目をやりました。

 僕はさっきから、ずっと思っていたことを口にしました。

「今日は、なぜかみんないつも以上にがんばったでしょう……」

01はこちら

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