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2008年11月16日 (日)

花火の夜の物語 28

花火の夜の物語 27からつづく
 自分としては、ちょっとマズイ展開だと思いましたが、考えてどうしようもないことは気にしないようにしています。
なるようになれです。

 店はそれほど忙しくもなく、おかげで僕の事務処理もはかどり、何の問題もなく時間は過ぎていきました。

 僕が今週の予算にあとどれぐらいで届くか頭の中で憂鬱な計算をしていると、八木さんがすうっと僕の方に近づいてきてささやきました。
「平和な夜ですねぇ、店長」

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 彼女はニコニコしていました。
僕がにらみつけると、八木さんは肩をすくめて早々に退散していきました。

 K君は、その日もキッチンのリーダーとしてよく働いていました。
彼は入客が少なければ少ないで、人員を割り振って厨房内の清掃なんかもやってくれます。
高校生にしては、できたやつです。
僕にとっては得がたい人材です。

 Yさんはいつもと変わらず、店内で笑顔を振りまいていました。
嫌みのない美少女っぷりに加えてこの笑顔ですから、彼女に対して悪い印象を抱くものがいるはずもありません。
個人的に素晴らしいと思うのは、忙しいときほど笑顔が輝くことです。
ですから下は幼稚園児から、上は「後期高齢者」の方まで絶大な人気があります。

 うちの店のホールで常連さんに名前を覚えてもらえる率では、一二を争うことは間違いありません。
(ちなみに争っているのは八木さんで、この点では彼女はYさんをライバル視しているらしい)

 そんな二人がつきあい始めたと聞いたときは、まさに「ベストカップル」だと思ったんですが……
とにかく、二人とも僕にとって店になくてはならない存在であり、妙なわだかまりを残してアルバイトをやめられたりすると痛手が大きいことは確かです。

 いつしか時間は8時を廻り、あっという間に9時になろうとしていました。

「店長、休憩どうぞ。何なら、ずっとバックで事務処理やっててもかまいませんよ」
そう言って八木さんは片目をつぶると、開いた右手を顔の横に持ってきて左右に振りました。

 僕は「バイバイって言うことか?」と心の中で、つぶやきました。

 しかし八木さん。
今休憩に入ったら、ちょうどあの三人が……

 29につづく
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