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2008年11月10日 (月)

花火の夜の物語 26

 花火の夜の物語 25からつづく
「メンツって、彼らは高校生と大学生だろう?」
「そうですよ。もう立派な大人です。当然、面子も意地も打算だってありますって。そこら辺を考えてあげないと」

 打算と聞いて少し嫌な気持ちがしましたが、八木さんの言わんとしているところはよく分かりませんでした。

「じょうだんじゃない、高校生の気持ちなんか分かるかよ」と思いましたが、それを口に出すわけにも行かず、僕は黙って八木さんのよく動く形のいい唇に視線を注いでいました。

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「でもね、わたし思うんですけど、そのへんのところをうまく配慮してあげるのが大人の店長じゃないですか?」
「……」

 八木さんは、しばらく僕の顔を見つめていましたが、さすがに言い過ぎたと思ったのか、「でも今さらしかたないですね」と言い残してホールの方に帰って行きました。

 「何だよ、あいつはいったい何をしに来たんだ」と、僕は手に持っていた翌々週のラフスケジュールを、休憩室のテーブルに放り投げました。
彼女は、特に用事もなかったようすでした。

 ちょうど出勤してきた女子高校生が、驚いたようにこちらを見つめていたので、とりあえずスケジュールを拾い、店長室のドアに手をかけました。

 後ろから高校生が遠慮がちに声をかけてきました。
「あのう……」
「何だい?」
思わずとげとげしくなる僕の口調に一瞬怯んだ様子を見せましたが、彼女は一枚のメモを差し出しました。
「遅くなっちゃったんですけど、スケジュールの希望です。もうだめですか?」

 僕は彼女が差し出す紙片を手に取り、それに目を落としました。

 ○○月○○日(日)お休み下さい。
  お願いします ♥
            ○○美

 27につづく
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