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2008年11月14日 (金)

ランチタイムの戦い 2

ランチタイムの戦い 1 からつづく
 そこで当面のランチを乗り切るのにどうするかを考えました。
キッチンは通常3人でやっているのですが、これを2人でやるのは非常に厳しいです。
残った二人のキッチンメンバーは、「何とかします」と言ってくれましたが、店長としては「はい、お願いします」という訳にはいきません。

 僕はリーダーの八木さんと相談しました。
そのとき店にいるメンバーの中でキッチンができるのは、僕と八木さんしかいません。

「どうしますか、私が入りましょうか?」
八木さんはそう言いましたが、

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 僕は首を振りました。

「いや、キッチンは僕が入るよ、君はホールをしっかり見ていてくれ。僕もキッチンに入りいっぱなしではなく、ホールもフォローするから」
「分かりました、任せて下さい。でも店長……」
「うん? 何」
「私がフルスピードでホールを回しますから、料理、遅れないで下さいね」
「ナマイキな。誰がキッチンに入ると思ってるんだよ」
「誰ですか?」

 僕は彼女に向かって胸を張りました。
「僕はこれでも昔は、あまりの速さに腕が3本あるんじゃないかといわれた『神足のクック』だぞ」
「ずいぶんと昔のお話のようですが……」
八木さんは神妙にうなづくそぶりをしながら、その実舌を出していたに違いありません。

「でも、そんなに自信があるなら私と賭をしますか?」
「いいよ、望むところだ。で、何を賭ける?」
「焼肉、1回おごり!」

 実際に人員が少なくなっているのはホールなんですが、通常の入客状況ならたとえ一人減ってもホールの方が余裕があります。
しかし絶対に負けられないぞと気合いを入れながらキッチンに入った僕はすぐに後悔しました。

 僕が普段キッチンに入るとすればディナーの時間帯なのですが、ランチとディナーではキッチンの食材のレイアウトが違います。
メニューの出筋にあわせてレイアウトをシフトごとに変えているのです。
キッチンのポジションごとに、よく使う食材を一箇所にまとめてあるので、作業効率が良くなっています。

 そんな事は承知でキッチンに入ったのですが、どうも僕が記憶しているランチのレイアウトと、かなり違います。
「保坂さん、レイアウトって変えました?」
僕は今日の出勤者の中では一番のベテランである保坂さんに訊きました。
「はい。先月のメニュー変更の時のレイアウトとは少し変えました。もうすぐフェアメニューが始まるじゃないですか。それに備えているんです」

 キッチンで食材の位置が分からないのは致命的です。
たとえば一つの料理の食材を出すのに、2回冷蔵庫を開ければいいとします。
しかし食材の位置が分からないと、3回、4回と冷蔵庫をいろいろと開けながら探すことになるので時間がかかってしまうのです。
その間料理は進行しません……

 僕は、素早くキッチンの冷蔵庫やドロアー(引き出し式の冷蔵庫)を全て開けて、食材の位置を確認しました。
新入社員の頃は、他店に応援に行くことも多かったので、キッチンに入るとすぐにそうやって確認をしていたのを思い出しました。
店舗によって場所がまったく違うのです。

 当時は食材の位置など一回で覚えられたのですが、今は自信がありません。
 少し雲行きが怪しくなってきました……

 3につづく
 1はこちら

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