« 花火の夜の物語 4 | トップページ | ファミレスで女性客に熱湯かけた女 - セブンの力 »

2008年10月 7日 (火)

花火の夜の物語 5

 花火の夜の物語 4からつづく
 とにかくこういうときは頭を押さえてしまうに限ります。
僕はまずリーダー格の人間のスケジュールを押さえにかかりました。

 高校生の中で抑えるべき男子といえば、K君です。
K君を押さえてしまえば、自動的にYさんも付いてくるので一石二鳥です。

 しかし今回はK君に先手を取られました。
「店長、今年の花火大会は休ませて下さい」

人気blogランキングへ

 休憩室で食事をしていた僕の所に、神妙な顔をして入ってきたK君は、そう言いました。
内心少しあせりましたが、そんな事はおくびにも出さず、なるべく平静な声でK君に言葉を返しました。

「あれ、K君には15時からずっぽり入ってもらおうと思っていたんだけどなあ」
そう言った僕にK君は、やっぱりという顔をして目を伏せました。
しかし彼は、すぐに顔を上げて真っ直ぐ僕の方を見つめました。
「店長、僕はアルバイトに入ってからスケジュールで迷惑をかけたことはありませんよね。去年の夏休みも、今年の正月も、5月のゴールデンウィークもフルに働いたし…… 今回は僕のわがままを聞いて下さい」

 確かにK君には、いつも助けられています。
かなり強引にスケジュールを突っ込んで、辛い思いをさせたことが多いのも事実です。
そんな彼の貢献には、時給を上げて応えてあげたいところなのですが、最近は本部からセーブがかかっていて思うに任せません。
時給の決定は店長の専権事項で、自由に決められる建前のはずなんですが……

 そんなわけで、K君からこんなに真摯に頼まれてしまうと断りづらいのです。
「ていうことは、当然Yさんも休むっていうことだよね?」
「すみません……」
K君は下を向いてしまいました。

 だから、そんな様子を見せられちゃうと困るんだって……

 内心でそうつぶやきながら、僕は頭の中で作りかけのスケジュール表思い出し、何とかなるか対策を考えました。
しかし、厳しい。
K君だけならまだしも、Yさんも一緒だとなると。
ホールとキッチンの核が同時に抜けてしまう……

 僕がしばらく黙っているので、K君はおそるおそるという感じで再び口を開きました。
「その代わりといっては何ですが、F君に代役をを頼み込んでおきました。彼がその日だけ一日復活してくれます」

 F君というのは、夏休み前に退職したK君と同学年のアルバイトです。
Kくんの代役として、能力的には不足のない人間なのですが……

「だけど、F君は受験のために辞めたはずだろ。夏休みは、どっぷり夏期講習だっって言っていたと思うけど」

 06につづく
  01はこちら

 日付順のインデックスへ
 カテゴリ別のインデックスへ
 TOPページへ

人気blogランキングへ

|

« 花火の夜の物語 4 | トップページ | ファミレスで女性客に熱湯かけた女 - セブンの力 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/179348/42721057

この記事へのトラックバック一覧です: 花火の夜の物語 5:

« 花火の夜の物語 4 | トップページ | ファミレスで女性客に熱湯かけた女 - セブンの力 »