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2008年10月27日 (月)

花火の夜の物語 19

花火の夜の物語 18からつづく
「K君が、かわいそうだな」
「そうですか? ほんとうにかわいそうなのはS君の方だと思いますよ]

  なぜ八木さんがそう言うのか僕には分かりませんでしたが、僕は話しの続きを待ちました。

 そもそもの発端は、水曜日のことらしいです。
21時上がりの高校生5人がアルバイトが終わった後に、休憩室で休んでいました。
その5人の中にはYさんも入っていました。

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 そこに22時からスケジュールが入っていたS君が出勤してきました。
S君がユニフォームに着替えてロッカールームから出てきたとき、高校生5人はまだ話しをしていたということです。

「彼らは何を話していたんだい?」
僕がそう聞くと、八木さんは手に持っていたボールペンを僕の方に突きだして言葉を続けました。

 5人の高校生は女子3人、男子2人の内訳だったらしいですが、Yさんを除く4人は、一組は付き合っており、もう一組はその一歩前というところです。
そのへんは僕も、何となく知っていました。

「彼らはね、土曜日の花火大会のことを話していたんですよ。先週の花火は全員出勤していたから行けなかったけれど、土曜日に隣の市で開かれる花火大会なら行けるじゃないですか。ただ……」
「どうしたの?」
「花火大会が開かれる会場は、電車で行くには不便な場所ですよね。行けないことはないけれど、帰りのことも考えれば高校生は足がないから行きづらいんですよ」

 花火大会は隣の市を流れている河の河川敷で開催されます。
最寄りの駅まで徒歩だと30分ぐらいかかるので、こっちから遠征して出かけるには少し無理があります。

「そこで、高校生の1人が冗談半分で言ったんです」
「何を?」
「Sさん、車で僕らを花火大会に連れて行って下さいよって」
「そりゃまた、ずいぶんと虫のいいお願いだな……」

 S君にすればまったくメリットのない話しですが、根っから親切なのか、それともただ花火が見たかったのか分かりませんが、彼は言いました。

「いいよ、たぶん親父に頼めば車を貸してくれると思うから」

 20につづく
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