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2008年10月21日 (火)

花火の夜の物語 14

 花火の夜の物語 13からつづく 
  意外にさばさばしたYさんの様子を見て、僕はK君の運命が気になりました。

 Yさんは、今回のことをそれほど重く考えていない……
というより、何かわずらわしいとさえ思っているのではないかというふうに見えました。

 K君、まずいぞ。これは君のほうが圧倒的に形勢不利だ。

 胸につけたプレートと、ユニフォームの襟を鏡で確認して、「よしっ」と小さくうなづきYさんは僕の方に手を差し出しました。

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「店長、ハンディ下さい」

 僕はオーダー用のハンディーターミナルに、充電の終わったリチウム電池を装着してYさんに手渡しました。

「じゃ、ホールに出ます。15時上がり組から引き継げばいいですか?」
「うん、そうだね」

 Yさんはホールに向かいかけましたが、いったん立ち止まり僕の方に向き直りました。
「店長、ほんとうに気にしないで下さいね」
そう言ってにっこりと笑いかけると、きびすを返して僕の視界から消えていきました。

 まっ、そんなそぶりをしても嫌みにならないのが、正真正銘の「美少女」の人徳か……
そんな事を考えていると、後ろから厳しい視線が突き刺さる気配がしました。

 あわてて振り向くとコンピュータに発注を入力していた八木さんが冷ややかな視線をこちらに浴びせていました。
「なにを、にやけているんだか、まったく…… ここにもK君の同類がいたみたい」
「別にそんなわけでは…… ただこんなことがあったのに元気だなあと思って」と、僕は言葉を返しましたが―― 「ちょっと待て。僕は後ろ向きだったんだから、どんな顔をしているか、君には見えなかったはずだ」
「じゃ、どんな顔をしていたんですか?」
八木さんは、右手に発注台帳。左手はウエストにあてて、こちらを見ていました。

「店長、Yさんは悪い子じゃないけど、額面通りに受け取っちゃあだめですよ」

 15につづく
 01はこちら

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