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2008年4月19日 (土)

アスパラパラパラ、パラグアイ PART 2

「なに言ってるんですか。こっちは1人でやっているんですよ。自動販売機じゃあるまいし、そんなにポンポン出ませんよ!」
「そんなつもりじゃ……」
「だいたい、代わりの人員の手配はしたんですか?」

 副店長は9時出勤だったので、十分前ぐらいに出勤してきました。
出勤してすぐに、欠員のことは聞いたはずです。
僕はキッチンからまったく手が離せない状態だったのですが、彼が手配をしてくれるものだと思っていました。
しかし彼は悠然とコーヒーを飲んで一服し、

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 飲み終わるとキッチンの横に来て言いました。
「悪いけど、次の人間が来るまで頼むよ」
僕は憮然としてうなずきました。
次の人間は10時出勤の予定でした。

「コーヒー飲む暇があったら、心当たりを電話したらよかったじゃないですか」
「いや、あの時間からじゃ無理だと思ったから……」
まだ携帯が普及していなかった時代です。
当時の電話という連絡手段は、現在の携帯の伝達能力の十分の一にも満たなかったと思います。
一歩家を出たら、連絡不能です。

 彼に任せていては永遠に地獄から抜け出せないと思い僕は言いました。
「このままじゃキッチンは崩壊ですよ。ランチを迎える準備もできていないし、食材が切れたら一気につぶれますよ。僕が手配しますから、ちょっとの間キッチンを見ていて下さい」

 僕は副店長とキッチンを交代し、従業員名簿を片っ端から電話していきました。
全部で七人に電話して、家にいたのが四人。
そのうち三人に出てくることを約束してもらい、さらに12時出勤の人間を11時に呼ぶことにしました。
その分ディナーに欠員ができますが、背に腹は代えられません。

 そうこうしているうちに、ホールの高校生が僕を呼びに来ました。
「佐野さん、もう限界です。キッチンが、つぶれています!」

 急いで駆けつけてみると山のようにたまった伝票と、床に散らばった食材が目に入りました。
僕がキッチンを離れたのは時間にして10分程度、よくこれだけ短時間に散らかせるものだとあきれました。
キッチンに入る機会が少ないとはいえ、これはひどい。

 僕がキッチンの中に入っていくと、副店長は救いを求めるような視線を投げかけてきました。
「どこまで、進んでいるんですか?」
「8枚目まで、手を付けているけど……」
そう聞いて、落とし忘れが無いかどうか確認していると、副店長がエプロンをはずしキッチンから出て行こうとしていました。
「副店長、どこに行くんですか? まさかこの状態のキッチンに僕一人を残して行くんじゃないでしょうね」
「いや、ホールの方も心配だから……」
僕はカウンター越しにホールの方を見やり、さっき僕を呼びに来た高校生に声をかけました。
「ホールはもう少しの間だいじょうぶかな?」
「ええ、何とか…… 料理が出ないのでお客さんが怒っていますから、そっちの方が怖いです」

 結局その後一時間ほど過酷な戦いが続きました。
僕はその当時平社員だったわけで、立場的にはちょっとまずいことをしたことになります。
その時のことを副店長は相当に根に持ったようで、異動するまで何かと辛く当たられました。

 何の話だか分からなくなりました。
キッチンというのは人員と、作業の負担の両面からのせめぎ合いの中に置かれています。

 おいしいものは出したいけれども、人員は増やせない。
しかし時代に追いついて行くには、変化が必要。
店長は悩み続けなければなりません。

 といっても店長には残念ながらメニューを選択することはできないので、常に変化していく会社の方針に対応していくしかありません。
表と裏のバランスを取りながら……

PS
 パラグアイの国旗は世界に国家は数あれど、ただひとつ表と裏のデザインが違うそうです。

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