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2008年4月 6日 (日)

モノレールの漂泊者 PART 22

 PART 1はこちらです
「700万円ですか……」
僕は驚きました。
しかし、よく考えてみれば貯金を全額引き出したのですから、そのぐらいの金額であっても不思議ではありません。
「しかし、病院に連れ込まれたときに持っていたのは500万円です。200万円の差があるのですが、これが何に使ったのか分からないんです」
「本人に聞けばいいじゃないですか」
当然の疑問を僕は口にしました。

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「あまりおおっぴらに言えないんですが、彼女は病気なんです」
「ああそうでしたね、鬱病でしたっけ?」
「そうですね。2年前に勤め先を辞めたのもそのせいだと聞いています。あのお金は退職金の一部です」

 僕はなるほどと思いました。
退職金ならば勤続年数にもよりますが、700万円という数字はむしろ少ないぐらいです。

「つまり銀行にあった退職金の残りを全額引き出して、家を出たというわけです。その点について彼女に聞いても要領を得ないんです」
「何に使おうが本人の自由じゃないんですか?」

 僕はそんなに持っていたのなら、もう少し店にお金を落としてくれても良かったのにと、不満に思いました。

「それはそうなんですが、彼女はまったく覚えていないようです。というのも病状には波があるらしく、具合が悪いと何も分からなくなるようなんです。そちらのお店に行ったときはちょうどそういう状態だったようです」
「今はどうなんです?」

 僕の疑問にお巡りさんは微妙な顔をしましたが、くわしいことは言えないと言い訳して、実は家族がお金の行方を心配しているのだと告げました。

「すでにこの店に来たときには、使った後だったんじゃないんですか? そもそもそんなことを気にしても仕方ないじゃないですか。お金がないってことは使ったんですよ。 自分のお金を好きなように使ったんですからあのお客さんの勝手でしょう」

 お巡りさんは、そう言う僕の方に困ったような視線を投げてつぶやきました。
「ところが、ご家族はそういう風には考えていないようです。そんな数日の間に200万円も使ったとは思えないので調べて欲しいそうです」
「どういうことですか?」
「つまり、盗まれたんではないかと言うことです」

 モノレールの漂泊者 PART 23につづく

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