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2008年3月29日 (土)

モノレールの漂泊者 PART 20

 PART 1はこちらです
 「セパレートチェックというのはですね、グループ客で割り勘にする場合などに使います」

 あらかじめ割り勘が予想される場合などに、1人1人別々の伝票を発行することがあります。
そういうときにセパレートチェックにします。
他にも団体客の場合で、複数のテーブルを2人以上のウェイトレスが同時にオーダーを取ったりする場合にも使います。

「セパレートチェックですか…… しかし伝票を単純に2枚発行するのと何が違うんですか?」
「それはですね、例えば10名ぐらいの団体で割り勘にするために一人ずつ伝票を発行したとします」

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「そしていざ会計となったときに、やはりまとめて支払いをすることになったとします。その場を取り仕切った人間が全員の伝票をまとめてレジに持ってくるわけですが、その時に伝票が漏れることがあります」
「そうするとどうなるんですか?」
「お客さんが帰ったテーブルを片付けるときに、1枚だけ取り残された伝票が発見されるわけです。つまり未会計ですね」

 これがセパレートチェックであれば、そのグループの伝票は関連づけられているので、レジで会計するときに1枚だけ残っていてもすぐに分かります。

 つまりセパレートチェックというのは、1枚1枚別の伝票であるという面と、全体を一つにまとまったものとして処理する二つの性格を持っているわけです。
これはレジでの会計時に、どちらでも自由に選べます。

「そうですか。なるほど…… ということはやはりあのお客さんはずっと1人で、誰とも会っていないということですか?」
「その可能性が高いと思いますよ」

 少なくとも伝票から判断するとそういうことになります。

 誰1人として入店したことに気づかず、誰の印象に残ることもなく、そして何もオーダーを頼まずに短時間のうちに出て行ってしまった人間がいれば別ですが……

 ここまで説明して、僕はどうしても聞かずにはいられないことがありました。
「なぜそんなことを聞くのか?」ということです。

 その当然の質問に、お巡りさんはちょっと困った顔をしましたが、一呼吸置き重い口を開きました。
「あのお客さんが現金を持っていたことは知っていますか?」

 救急車の車内の片隅に僕が置いた紙袋。
あの中にはお金の束が入っていたことを、僕は中田さんから聞いています。
「ええ、知っています」
「そうですか。ではいったいどれくらい入っていたかもご存じですか?」
「いやそこまでは、はっきり見たわけではないので分かりませんが。というか僕が見たのではなく、実際に見たのは従業員なんですが……」
「500万円です。○○銀行の帯封も付いたままでした」

 お巡りさんは、県名が名前になっている地方銀行の名前を出しました。
あの女の人は、ずいぶんと遠いところからきたんだなあ。
そんなことを僕は考えていました……

 モノレールの漂泊者 PART 21につづく

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