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2008年3月10日 (月)

モノレールの漂泊者 PART 14

 PART 1はこちらです
 中田さんは、僕たち二人に向かって紙袋の中身を知っていると言いました。
あのお客さんが店にいたのは一週間あまり。
その間に中田さんがバイトに入っていたのはおそらく半分以上です。

 入客の少なくなる深夜から朝にかけての時間帯ですから、中田さんが一人でホールを担当していた時も多く、最も彼女に接した人間だと思います。

「いったい何が入ってたの?」
相田君が中田さんの方を見ました。

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「あの袋の中には、お金が入っているんですよ」
「……」
僕と相田君は中田さんの言葉を待ちました。
「テーブルの片付けをしているときに偶然見てしまったんです。あのお客さんはいつも紙袋をシートの上に置いているんですけど、手が引っかかったらしくて倒しちゃったんです」

 その時中田さんは別のテーブルの片付けをしていて、ちょうど上半身をかがめてテーブルの下に落ちたゴミを拾っているところだったそうです。
視線が低かったので、シートの上に横倒しになった紙袋の中身が奧まで見えたそうです。

「お金は、束になってました。たぶん五センチぐらいあったと思います」
それが1万円札だったとしたら、五センチだと500万円ぐらいになるのでしょうか。
普通は1万円札以外を束で銀行などからおろすことはないと思うので、おそらく1万円札だったのでしょう。

「本当かよ。近くで見たわけじゃないんだろ」
相田君が疑わしそうな視線を中田さんの方に注ぎました。
「間違いないって! それに千円札だったとしても五十万円なんだから、どっちにしろ大金でしょ。相田君の銀行口座にはその十分の一もないんじゃないの?」
「そもそも札束じゃなかったとか」

 相田君は最近バイクを買い替えるために貯金を始めたらしいのですが、いっこうに貯まらないと嘆いていたのを皮肉られて意地になって反論しました。
相田君のバイク貯金は全額貯まるまで待っていては、いつになるか分かりません。
どうせクレジットを組むんですが、親に保証人になる条件として10%以上頭金として入れることを約束させられているのです。
今の調子では、たとえ10%でもいつになるのか分かりませんが……

「でも見間違えるものがないでしょ。お金の束に似ているモノって何があるの?」
「まあ、そりゃそうだけど…… でもそんな大金を持っているならホテルだってどこだって行けるじゃないか。何も雪の中で倒れて、幽霊と間違えられることはないだろ」
「お金は持っているほど、大切に使うんだから。そういう考えだから、キミはいつまで経っても……」

 不毛な会話でした。

 モノレールの漂泊者 PART 15につづく

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