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2008年2月24日 (日)

モノレールの漂泊者 PART 8

 PART 1 はこちらです
「そんなばかな」
バックルームに飛び込んできた中田さんに、僕と相田君は口々に叫びました。
「ほうとうなんです。モノレールの駅に……」

 店の近くにはモノレールの駅があるのですが、そこでのことを中田さんは言っているようでした。
「何を見たんだよ」という、相田君に、
「人が消えたんです」

 僕と相田君は顔を見合わせるだけです。

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 モノレールの駅までは約200メートル。
頭上にある駅には階段で上るようになっています。
中田さんは家に向かって歩いていたのですが、歩道は雪が積もっていたので足下に注意を注いで下を向いたまま進んでいたそうです。

 そしてふと顔を上げたときに道路をはさんで反対側の階段、これもモノレールの駅に上がる階段なのですが、そちらの方を見たそうです。

 階段を5、6段上がったところに人が座っているのが見えたそうです。
この寒いのに何をしているんだろうと思い足を止めると、ちょうどそこに通りかかった大型トラックが中田さんの視界を遮りました。

 そしてトラックが走り去った後に、その人影は忽然と消えていたそうです。
視界が遮られたのは一瞬で、その間にその場から立ち去ることは絶対に不可能です。

 だから中田さんは「幽霊を見た」と言ったのです。

 それじゃあ、ちょっと見に行ってみようと僕が言うと、相田君が異議を唱えました。
「えっ、僕はちょっと…… それに、ただの見間違いじゃないんですか?」
「相田君、怖いんだろう」
僕が言うと、彼はあわてて手を振って否定しました。
「違いますよ。そんなわけないじゃないですか」
「相田君、あたしはあの道を通らないと帰れないんだから。ちょっと協力してよ!」

 相田君は渋々同意し、三人でモノレールの駅まで行ってみることになりました。
外は寒いので僕はジャケットの上着を羽織りました。
相田君は冷凍庫用の防寒ジャンパーをコックコートの上から着込みました。
僕は金庫の施錠を確認して、バックドアから彼らを連れて外に出ました。

 バックドアは駐車場の裏手に出るようになっています。
駐車場の裏手は、車も人も通らないので雪は深くなっていました。
雪の上には中田さんの足跡が、行きと帰りの一往復分残されているだけです。

 僕たちは寒さに身体を縮こまらせながら、モノレールの駅へと向かいました。

  モノレールの漂泊者 PART 9につづく

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