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2007年12月25日 (火)

雨の日にやって来た、おじいちゃん PART Ⅲ

 

 未精算のまま残ってしまった伝票について、僕は処理方法を保留しまいた。
その二日後に、バックでスケジュールを作っていた僕のところに梨田さんがやってきました。
「店長、あのおじいちゃんの娘さんという方が来られてます」
「あのおじいちゃんって誰だっけ?」
梨田さんから話を聞き、僕はすぐに未精算のまま残っている伝票のことを思い出しました。
店内に出てみると、上品そうなご婦人が待っていました。

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「私、村尾と申しますが、いつも父がお世話になっております」
と言って、その人は頭を下げました。
話を聞いてみると彼女は、あのおじいちゃんの娘さんで、父親が普段利用しているお店などを訪ねて回っているということでした。

「実は最近、長年かっていた猫が死んでしまいまして、それ以来父の様子がおかしいんです。義母はずいぶん前に他界しているので、父は猫を大変かわいがっていました。見た目は変わらず、様子がおかしいこともほとんど無いのですが、たまに……」

 話を聞くとおじいちゃんは、いくつかの場所でうちと同じように会計を済ませないで店を出てしまったようです。
まったく悪気はないのですが、お金を払うのをすっかり忘れてしまうとのことです。
そのことをある店から連絡を受けて、大変に驚いたということです。
そして、普段父親が行っている店を回って、同じようなことをしていないか確認しているらしいのです。

「どうでしょう、こちらには毎日のように来ているみたいですが、そんなことは無いですか?」
「実は……」

 事情を説明すると、彼女はすぐに未精算分の会計を済ませてくれました。
そして言いました。
「あのう、ここに来ることは父の日課のようになっているので、これからもお伺いすると思うんです。そして、たまに支払いを忘れることがあるかもしれません。今のところは月に数回程度、ちょっと遠くの世界に行ってしまうみたいですが、今後のことは分からないんです。父はここが大変気に入っているようなので。これからも来させてほしいんです。そこでお願いなんですが……」

 彼女は、今後そのようなことが有ったときのためにお金を預かってほしいと言いました。
そして、支払いをせずに帰ってしまった時はそこから払うという形にしてもらえないだろうかと言うのです。

 まあ、合理的な解決方法ではあると思いますが、少し困ったことがあるのです。
「村尾さん、大変申し訳ないんですが……」
そう僕が切り出すと、彼女の顔が曇りました。

  以下、PART Ⅳにつづく

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