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2007年10月 1日 (月)

大人のためのアキバ系講座2 アイドルマスターとニコニコ動画 前編

 安野くんは持ってきたUSBメモリを僕のノートパソコンに差し込みながら言いました。
「店長の世代だと、Winkって知ってますよね?」
また懐かしい名前が出てきたもんだと思いました。
80年代後半に人気のあったアイドルグループです。
僕が高校の頃のことなので、若い人にはなじみがないはずです。
安野くんはさらに、「ABBA はどうですか?」と聞きました。
これまた、懐かしい名前でした。
当時僕は小学生だったかな?

 僕が黙ってうなずくと安野くんはうれしそうに、これはニコニコ動画からダウンロードしてきたものですけど見て下さいと言って動画ソフトを起ち上げました。
一体何を見せるつもりなんだ?
そう思いながら見ていると、ノートパソコンの貧弱なスピーカーから懐かしい曲が流れてきました。

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 それは、さっき安野くんが名前を出した、Wink の「寂しい熱帯魚」という曲でした。
流れてくる曲はWinkのものでしたが、画面に映っていたのは人間ではありませんでした。
曲に合わせてダンスを踊っているのはアニメーションのキャラクターでした。
安野くんは、この動画は僕が作ったものではありませんが、似たようなことをしていますと言いました。

「へー、こんなのがあるんだ。こんな昔の曲がアニメになってるのか……」
安野くんは僕の方を満足そうに見ながら言いました。
「店長、これはアニメじゃありませんよ。それはいいとして、このダンスはどうです?」
アニメじゃないって言うけど、これはどう見てもそうなんだけどなと思いながら、僕はあらためてディスプレイに目を落としました。

 よく見るとアニメはアニメでも、2Dではなく3D描画のようでした。
動きは非常にリアルで生身の人間の動きに近いように見えました。
質量と重力と、慣性の法則に従った動きを忠実に再現しているように見えます。
そして、リズムにぴったりあった見事なコンビネーションでダンスをしています。
ただし、顔に関しては二次元アニメのものです。
しかしそれは違和感なく融合されていました。
彼女たちが踊るステージはCGで合成されていて様々な視覚的効果も相まって、空間として奥行きが感じられます。
その中で二次元の顔と三次元の身体を持った少女ふたりが踊るわけです。

「うーん、曲のリズムと動きがぴったり合ってるね。僕はアニメには詳しくないけれどこれは難しいことなんじゃないの?」
「そうですね、じゃあもう一つ見て下さい。今度はABBA です」
そう言って安野くんが次に見せてくれたのは、ABBA の「ダンシング・クイーン」でした。

 これまた懐かしい曲です。あの時代のポップスの名曲でしょう。
この後ぐらいから僕は、ガンズの洗礼を受けてそっちの世界に行ってしまったのでなおさら懐かしいものがあります。
ディスプレイには、三人のキャラクターが出てきました。
先ほどの曲に出てきた二人に加えて、新しいキャラクターが登場しています。
ABBA は、ツインボーカルなんだけどな、と思いながら見ていると、今度は実写風景などもインサートされていて、洋楽のプロモビデオ風に仕上がっています。
ダンスはこちらも、僕の目から見て完璧でした。

「ところで店長、さっきも言いましたけど、これはアニメーションじゃないんですよ」
「と言うと?」
「これは、アイドルマスター( THE IDOLM@STER )というゲームの画面です」
一体どんなゲームなんだと、僕が考えているとそれを察したように安野くんが言いました。
「アイドルマスターは、アイドルをプロデュースするゲームです! ゲームのなかで、アイドルを育てるんですよ」
安野くんの目は生き生きとしていました。
うむ、何か危険な香りがします……

「ゲームのなかに出てくるステージの画像なんですよこれは」
「じゃあ、ゲームのなかで、Wink の歌を歌うところが出てくるんだ」
「残念! はずれです。そんな古い歌を歌うわけないじゃないですか。ゲームをするのは、店長みたいな人間じゃなくて、ずっと若いんですから。80年代はないでしょう」
 悪かったな、古くて。そう思いながら僕は安野くんを見ました。
「でも現に、歌っているじゃないか?」
「もしそうなら、歌も入れ直しているんじゃないですか? これは原曲ですよね」
そう言われれば、昔聞いたままの歌のような気もするけれど記憶は定かではありません。
「これは、原曲に会わせてキャラクターに踊らせたものです」
「へー、曲に合わせて振り付けのCGを合成できるようになったんだ。で、これはWindows
なの? 推奨スペックは?」
「そうじゃありません。それにこれは、Xbox 360用のソフトです」
「……」

 ちっとも話の通じない僕にいらいらしたのか、安野くんは少し早口に説明を始めました。
「アイドルマスターには、ゲームのなかで、オリジナルの楽曲を歌うシーンがあるんです。店長に見てもらった動画は、ゲームのなかの歌と、Winkの歌を入れ替えて作ったものです。ですからゲームのなかに、あんなシーンは出てきません」
「それにしては、まるで、あの曲のために作られた振り付けのようにぴったり合っているね」
僕がそう言うと、まさにそのことが言いたかったという顔で安野くんは目を輝かせました。

「そうなんですよ。そのままでは曲の長さも違うし、第一、BPMがちがいますから」
「BPMって何?」
「ビート・パー・ミニット。一分間に何回リズムが刻まれるかの数字です」
僕が無言でうなづくと、
「まず、素材となる曲とダンスを付ける曲のBPMを比較して、その割合に応じて調速します。曲の方は速度をいじると声が変わってしまうので、ダンスの映像の方を調整します」
声質を変化させずに、速度を変えることも 「特定のソフトを使えばできますが」 と、付け加えてからさらに安野くんの説明は続きます。
「そうして、リズムの調整が済んだダンスを、動きに合わせて細かく分割します。そのパーツを曲に合わせて割り振っていくわけです。ですから、ワンカット毎に編集を加えているんです。あと、スローモーションやストップモーションをかけたり、減色したり拡大縮小、二画面合成などいろんなエフェクトを加えて完成度を高めます」
 まあ聞いただけで大変な労力がかかることはわかります。

 確かに、労力は認める。
素人の僕から見ての評価ですが、
映像に非凡なセンスがあるのかもしれない。
しかし安野くん、あえて言いたいことがある……

以下次回……
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