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2007年3月 1日 (木)

スーパー・アルバイター PART 32 深夜のドン 20

  PART 1から読むにはこちらへ

ベーコンのとポテトをヒントに、僕はピンチを脱しました。
たとえ数枚のチェックでも、忘れるときは忘れるものです。
ピーク時にはそういうときのために、センターが全体の流れをコントロールしています。

僕はファミレスのキッチンしか体験したことはありませんので、本格的なレストランではどういう風に、仕事がコントロールされているのかはわかりません。
しかし、

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家庭のように一つのテーブルのために料理を作るのではなく、複数の行程を同時に行わなければならない以上、同様の能力は要求されるはずです。
知らない世界のことを語るのは何ですが、一流のシェフと呼ばれる方は事務処理能力も優れているのだと思います。
そのお店でのルール(ファミレスで言えばマニュアル)が優れているから、キッチンが滞りなく運営できるのだと思います。
そしてそれを管理する能力も必要なはずです。

処理とかマニュアルとか表現すると、ファミレスは馬鹿にされがちです。
しかし、お店としてある一定以上の売り上げを確保していくには、どんな業態であれ「決まり事」は必要です。
ファミレスはそれを効率的なマニュアル(教則本)という形で新人に提供しています。

さて武内君との勝負ですが、前半の窮地をしのいだので僕に有利になっていました。
武内君はオーブンものがあがってくるタイミングに合わせて、パスタ類もボイルしなければなりません。
それに加えて、僕の方から回ってくる料理の付け合わせの盛りつけもあります。

前半でサラダとサンドイッチに苦労した僕は、逆にだんだんと作業の負担が軽くなっていきました。

しかし、武内君はさすがに毎日一人でキッチンを預かっているだけあって、涼しい顔でオーダーをあげ続けていました。

ジャッジのいない勝負ですから、どちらかが負けを認めなければ勝敗は決しません。
どうするか?

明らかな勝敗はついていませんが、客観的にみれば武内君の判定勝ちというところでしょう。

その時です。
店の電話が鳴りました。
すぐにホール担当の脇田さんが、電話の子機を持ってキッチンにやって来ました。

「店長、SVから電話です」

僕は何だろうと思いました。
時計をみると午前2時を回っています
SVは特別な場合を除き、基本的に深夜に働くことはありません。
この時間に緊急に連絡が必要なことに、心当たりがありませんでした。

「武内君、悪いけれど勝負は、仕切り直しということにしよう」
「いいですよ」
武内君は了承してくれました。

電話の子機を受け取ると、SVの多少かすれた声が僕の耳に入ってきました。
「佐野君、夜遅く申し訳ない。今少し時間がとれるかな?」
「はい、だいじょうぶです」
こちらは、店で働いていたのですから別に何の問題もありあせん。

SVは、自宅から電話をしていたのだと思います。
周りを気にするように小声で告げました。
「実は、先ほど田中君のお父さんがお亡くなりになったらしい。通夜は明日・・・ いやもう今日になると思うけれども、とにかく今から僕は病院に向かうよ」

田中君は同じ地区の店長です。
お父さんが病気で入院しているとは聞いていましたが、その知らせに僕は驚きました。

  PART 33 につづく

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