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2007年1月 6日 (土)

カテーテル・アブレーション日記 PART 09 副伝導路

  PART 1 から読むにはこちらへ

カテーテルアブレーションについて詳しい話が聞きたいという僕の願いを芳賀先生は聞き入れてくれました。
「WPW症候群は、異常な伝導路によって頻拍が引き起こされるわけです。正常な経路と異常な経路が二つ存在することが問題なのです。ですから、この異常な方の伝導路を物理的にカットしてしまえば、症状は出なくなります」
先生は心臓を透視した写真を僕に示しました。
その写真には、心臓の組織以外に針金ようなものが3本写っていました。
「この写真に写っているのが、カテーテルです。直径2ミリほどのケーブルのようなものです。先端は自由に動かせるようになっています。これを両太ももの付け根と首の3カ所から血管に挿入します。そして、先端を血管の中を通って心臓の内部へと進めます」
先生は時間経過にそって写真を変えながら説明をしてくれました。
カテーテルが身体の内部を心臓へと進んでいく様子がよく分かりました。

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「心臓まで到達したら、カテーテルの先端で心臓の中を心電図を見ながらマッピングしていきます。どこを異常な信号が流れているかを慎重に特定します。副伝導路が発見できたら、その部位を高周波で焼くわけです」
「心臓の中を焼くんですが?」
「あっ、ちょっと説明が不適切だったかもしれませんね。焼くと言っても温度は60度ぐらいです。高温で暖めると言った方がよいかもしれません。時間は60秒前後です。これによって特定された部分の心筋組織を凝固壊死させて不整脈を発生させている回路を遮断します。原因となる副伝導路を遮断しますので根治が可能です」
「副伝導路を特定すると言われましたが、これは必ず見つかるのですか・」
僕は最も気になることをたずねました。
「ほとんどの場合見つかります。部位によって簡単に見つかる場合とそうでない場合がありますが、術時間は2時間程度です。成功率も高いです。非常に有効な治療法であるといえます。まれに、心筋の外側を副伝導路が走っていることがありますが、この場合はカテーテルアブレーションでは治療できません。別の方法を考えることになります。しかし、その心配はほとんどないと思います」
「心筋の外側を通っていると何故治療ができないのですか?」
「佐野さん、カテーテルアブレーションという手技は、患者さんの負担が軽い治療法です。メスを入れて開胸せずに行えることがその理由ですが、それによる制約もあります。カテーテルは血管の中を通って、心臓の内部に直接挿入されます。袋の中に手を入れたところを想像してみてください。袋の内側はふれることができますが、外側はさわることができませんよね。それと同じことがカテーテルアブレーションにも言えます。心筋の外側に近いところを副伝導路が通っている場合は、十分に焼勺できないことがあるのです。しかし佐野さん、アブレーションの成功率はK病院では98%です。心配はいりません」
「K病院ですか?」
「はい。実際にカテーテルアブレーションをするとなれば、この地域ではK病院が実績があります。循環器科に下谷先生という方がいますので、そちらを紹介します。個人的な見解ですが、僕はK病院は日本一だと思っています」
「カテーテルアブレーションで直らないことも、可能性としてはあるわけですね」
芳賀先生は、心臓の写真をきちんとそろえてデスクの脇に置いてから、僕の方に向き直って言いました。
「佐野さん、確率は100%ではありません。アブレーションの効果がなかったり、再発したりすることもあり得ます。その場合は・・・」
そこで先生は言葉を切りました。

  PART 10 につづく

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