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2007年1月13日 (土)

成人式と写真館と、サービス券 PART 5

  PART 1 から読むにはこちらへ

予想外にたくさん出回ったサービス券のおかげで、店は混乱しました。
それは、ディナータイムの立ち上がりにまで影響しました。
サービス券は、18時以降も回収が続きました。
すでに、写真館は閉店するであろう時間帯なのですが・・・
どう考えても、撮影待ちのお客さん以外にサービス券が出回っているのは、間違いありません。
第一に考えたのは、写真館の従業員による不正発行ですが、件の店は家族経営の店です。
それは考えにくいと思いました。

相変わらず店内は、同窓会状態でしたが、それもようやく落ち着き始めた頃、アルバイトの斎木さんが晴れ着姿で、店にやってきました。
彼女はその日、成人式に出席するためバイトは休みでした。
斎木さんは店内に入るなり、僕の方にやってきて財布からあるものを取り出しました。
それは、

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写真館発行のサービス券でした。
「あれ、斎木君。君もあそこで写真を撮ったのかい?」
「違いますよ、そんなことに高いお金は払っていられません」
「じゃあ、その券は・・・」
「成人式の会場で同級生の友達からもらいました。でもこの券は、会社が発行したものじゃありませんよね。本当に使えるんですか?」
僕は、これで謎が解けそうだと思いました。

「斎木君、友達はこの券を、どこからもらったって言っていたのかな? これは、写真館の撮影待ちのお客さんに配られたものでそんなに枚数は出ないはずだったのに、すでに50枚以上回収しているんだよ」
斎木さんは、さらにもう一枚財布から券を取り出しながら言いました。
「別の友達からも、もらってきました。友達が言うには、今日になって写真が撮りたくなって、成人式の始まる前に写真屋さんに行ったらしいです」
「それは、K写真館だよね。それで、どうしたって?」
「今から写真を撮れますかと聞いたら、少し待ってもらえば大丈夫だということなので、その友達は待っていたそうです」
さらに斎木さんは続けました。
「暇だったから携帯で同級生達に電話をしながら待っていたらしいんです。そうしたら話が盛り上がって、自分も写真を撮りたいっていう人が、たくさん出てきたらしいです」
どうやら、話の流れが僕にも分かってきました。
「それで、何人集まったの?」
「20人ぐらいだそうです」
「あの写真館に20人も集まってきたのかい?」
「20人だけじゃありません」
「と言うと・・・」
「中には、親につれてきてもらった人もいるし。男の子達の車で来た人もいたらしいです」

斎木さんの話によると、女の子、その親、男友達、等々で結局50人近くの人間が集まったらしいです。
さらに、車も10台近く。
人間は店内に入りきれず、駐車場はあふれてしまったそうです。

そこに事前に予約していたお客さんが来店して、その父親が事前に予約したのに駐車場が一杯なのはどういうことだと店主に文句を言い始めたそうです。
それを横で聞いていた男の子達が、後から来て文句を言うなと言ったのをきっかけに、今度は男の子達と予約客の父親の間が不穏当な状態になってしまったそうです。
すでに、どうやっても全員の撮影を行うことは不可能になったことを悟った店主は、若者達に謝ったそうです。
「写真屋さんは、本当に気の毒だったらしいですよ。男の子達の中には、お酒が入った人もいたらしいし」
斎木さんは、自分はそこにいなかったはずなのに、まるで見てきたように話を続けました。
「謝って済むことではないけれど、どうやっても無理だから勘弁してくれと頭を下げ、これはほんの謝罪の気持ちですと言って・・・」
「サービス券を渡したわけだ!」
「そうらしいです」
予約と予約の間をうめようとして、安易に予約客以外を引き受けた店主の行動が事態を招いたのです。
携帯で仲間に声をかけた女の子も、それほど集まるとは思っていなかったらしいです。
写真館の店主は、携帯社会のネットワークを甘く見ていたようです。

その後も若者達は文句を言っていたらしいですが、成人式の始まる時間が迫ったのと、もともとそれほど写真を撮りたかったわけではないので、サービス券を受け取って帰ったそうです。
これで謎が解けました。
彼らはサービス券をもらったものの、撮影をするわけではないので待ち時間をつぶす必要もありません。
サービス券を持ったまま成人式の会場に行き、更にそこで仲間内に券が拡散したというのが真相でした。
「斎木さん、いったい何枚ぐらい券を渡していたのかな?」
「さあ、私はそこにいたわけではないので・・・」
「あっ、そうだよね。分かるわけないか」
「でも、一人で何枚ももらった人もいたみたいですよ」
ということは、100枚以上の券が配布されている可能性があります。

「マネージャー?」
「なんだい」
「その券って?・・・」
「ああ、いいよ使っても。何でも食べていっていいよ、今日はお祝いだから足りない分はおごるから」
「やったー。でも私たち8人ですよ」
「・・・」

その後もサービス券の回収は続きました。
写真館の店主は、自分の店を閉めてから謝りにやってきました。
トラブルの起こっている間にも予約のお客さんが来店し、大変に困ったそうです。
撮影の予定が更に厳しくなってきて、どうしようもなくてサービス券を渡してしまったということでした。
券は、パソコンでプリントアウトされたものだったのですぐに発行できたようです。

まあ、こちらとしては苦情が発生したとはいえ、売り上げになったわけで、あまり強いことも言えませんでした。
写真館の店主は、サービス券分の代金を支払い、ていねいに頭を下げて帰って行きました。
やれやれ大変な一日だったと思い返しながら、疲れた身体にむち打って僕は帰宅の途につきました。

しかし、問題はこれで終わりではありませんでした。

  PART 6につづく

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コメント

こんばんは!

はぁ~すごい裏があったんですね(>_<)
携帯ネットワークってすごいんですね(汗)

読んでるのに
なんか自分の頭の中で映像が見えました(笑)
これは大変でしたね…

しかもまだ何かあったのですか?
ハラハラ…ドキドキ…
気になりますーーー!

投稿: Kenny | 2007年1月15日 (月) 00:17

kennyさん。
コメントありがとうございます。

サービス券とか、金券とかのトラブルは怖いんです。
だから扱いには注意して、従業員にも伝えていたはずだったんですが・・・

投稿: ばーど | 2007年1月15日 (月) 02:36

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