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2007年1月21日 (日)

カテーテル・アブレーション日記 PART 13 タイムマシンにお願い

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「そうですね、心筋細胞は生まれてまもなく細胞分裂できなくなります。その後の成長に従って心臓が大きくなっていくのは、心臓の個々の細胞が肥大することにより発育するからです。ですから、手術は慎重に行います。冠動脈は細かく枝分かれしているので目標の血管は超音波検査で特定します。小さな風船を血管内で膨らませてエタノールが余計な血管に流れるのを防ぎます。これにより目的の部分だけを壊死させることができます。」

「なるほど、よく分かりました」
「しかし、これは何度もお話ししているように根本的な治療法ではありません。肥大型心筋症は病因もまだ分かっていません。半数が遺伝子の異常に由来するものであることは分かっています。タンパク質の遺伝子、ミトコンドリアの遺伝子、代謝に関する遺伝子などの異常が発見されていますが、突然変異によることも考えられます」
つまり、

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症状を抑える治療法しか現在のところは無いということです。
「しかし佐野さん、ものは考えようです。佐野さんの心筋にいつから異常が始まったかは分かりませんが、少なくともそれまでは健康だと信じていたわけですよね」
「はい、そうですが・・・」
「病気もなく、幸せな人生だったということですね」
幸せだったかどうかは別として、それなりに充実した生活を送ってきました。
特に身体に異常もなく、ファミレスのハードな勤務もこなしていました。
まさかこんな事で、つまずくとは思っても見ませんでした。

「佐野さん、実はWPW症候群も肥大型心筋症も、患者さんの多くは無症状です。軽度の場合は本人に自覚症状がないことが多いのです。彼らは、あなたと同じ病気にかかっていながら、それを知らずに暮らしています。一生そのまま気づかずに人生を終える方もいるでしょう。突然死の可能性は一般の方の10倍から20倍ですが、それは確率の問題です。一人一人にとっては単なる結果の数字でしかありません。それぞれの人の未来をしばるものではないのです。では、彼らは幸せでしょうか?」
「そのまま一生、気づかないままでいられるなら本人は幸せかもしれませんね。周りは大変かもしれないけれど」

芳賀先生は大きくうなずきながら言いました。
「この手術がうまくいけば、日常生活で苦しいと感じることは無くなる可能性があります。あなたを、数年前の身体に近い状態に戻すことができるかもしれません。自分が健康だと信じていた頃の身体に・・・。 もし、そのまま症状が進むことなく一生を終えることができれば、それは健康なまま過ごした人と変わりないのではないですか」
芳賀先生は僕を、タイムマシンに乗せてくれるというのだろうか・
「でも先生、一度知ってしまったら、知らなかった頃には戻れません」

  PART 14 につづく

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