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2007年1月20日 (土)

カテーテル・アブレーション日記 PART 12 経皮的中隔心筋焼灼術

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経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)と言う治療法は全く知りませんでした。
と言うより、今日ドクターから聞く言葉の一つ一つが初めて聞くものでした。
「それは、どういう方法なのですか?」
僕は質問しながら一つだけ気になることがありました。
この病院は基本的に予約制の診療制度を取っています。
すでに予定の時間をオーバーしているはずですが、芳賀先生は丁寧に説明してくれました。

普段の仕事では、いかにしてお客さんを待たせずに、心地よいサービスを提供するかに心血を注いでいます。
同業他社のお店に行った時も相手の気持ちが分かるので、決してわがままは言わずいいお客であろうとします。
この時も、僕の後ろに待っている多数の順番待ちの人の事を考えないわけではありませんでしたが、体裁を繕ってはいられません。
僕は先生の言葉を待ちました。

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「心筋が厚くなっているのが血流が悪くなる原因ですから、その要因を取り除きます。具体的には、大動脈につながる左心室の出口部分に近い場所の心筋を薄くします。かつては”中隔心筋切開切除手術”と言って、肥大した部分を削り取る方法も行われていましたが、現在はあまり行われていません」
焼いたり切ったり、あまり気分の良い話ではありません。

「また、ペースメーカーを使う方法もあります。ペースメーカーによって心臓が収縮するタイミングをずらして調整します」
「どういう事でしょうか?」
「心臓の収縮が進むタイミングをずらすのです。左心室の流出路に狭窄がある場合に、ペースメーカーで右心室へ電気刺激を与えることにより心筋の収縮リズムをコントロールします。その結果、左心室側の収縮に遅れが生じて左心室流出路が広がります」

説明されても、心臓の構造に素人の僕にはイメージがつかめませんでした。
「ペースメーカーを埋め込むというのはどうも・・・」
「私もこの方法はお勧めしません。そこで経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)なのですが」

芳賀先生はふたたび、デスクの上のファイルを開きました。
ファイルには写真が多数使われており、手術の方法を説明した図解もありました。
「この方法も、カテーテルによって行います。心臓の冠動脈に通したカテーテルから、純エタノールを注入します。エタノールの作用によってその部分の心筋は壊死します。こうすることによって心筋の壁が薄くなり、左心室の出口が広くなって血流が改善するのです。根本的に治癒するわけではありませんが、息切れや胸痛などの症状は改善できます」
「壊死というと、その部分の心筋は死んでしまうということですか?」
「死んでしまうというと、不安に感じられるかもしれません。この手術は約10年前から始まったのですが治療実績も上がり、最近健康保険の適用も認められました。まだ限られた病院でしかできませんが・・・」
決定的な治療法ではないとしても、息切れ等が改善されるなら受けてみる価値はありそうです。
しかしアルコールで心筋を壊死させるという事には、不安を感じずにはいられません。
「先生、心筋を壊死させるということですが、余分な部分まで死んでしまうことはないのですか? 心筋細胞は一度壊れると、細胞分裂できないので再生できないと聞いたことがあるんですが」
僕は素直な疑問を芳賀先生にぶつけました。

  PART 13 につづく

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