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2006年8月19日 (土)

スーパー・ヘルプ参上! PART 2

ヘルプの件に関して八木さんと話した後、しばらく事務処理をしてから帰宅しました。
そのころには、ひどい頭痛と悪寒に悩まされていました。
早々に薬を飲んで寝ました。
翌日起きると、鎮痛剤と風邪薬のおかげで多少ましにはなっていましたが、歩き出すと体がふらつきました。
この時期に体調を崩すとは、全くもって不覚です。
普段はもう少し早めに出勤するのですが、その日はとりあえず起きてから一度店に電話して、異常ないのを確かめたので11時半に出勤しました。
店に着くと朝一から働いている副店長が僕を迎えてくれました。
「店長、大丈夫ですか?」
「うん、薬を飲んで寝たからだいぶ良くなったよ」
嘘をつきました。
「本当ですか?」
副店長はそう言って、いたずらっぽい目でこちらを見ながら続けました。
「店長に、お客さんが来ていますよ。先ほどから裏でお待ちです」
「お客? いったい誰だい」
「まあ行ってみれば、分かりますよ」
まさか、僕の命令を無視して八木さんがこっちに来ているんじゃないだろうなと思いながらバックルームに行くと、そこには僕の出勤を待ちかねた人間が二人いました。

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「店長、お久しぶりです」
そこにいたのは、この春まで店で働いていた元アルバイトでした。
一人は増井さんと言い、大学を卒業して就職のため退職していった人間です。
もう一人は仙道さんと言い、高校を卒業して京都の大学に入るため退職していきました。
二人とも、僕がこの店に来てから採用したメンバーで、春まで主力となって働いてくれた人間です。
「いや、お久しぶり。元気だったかな。仙道君は休みでこっちに帰って来ているの」
「はい、そうです」
しかし、なぜ彼女たちがここにいるのだろうと、思いました。
「ところで、今日はどうしたの。せっかくだから何でも食べて行ってよ、おごらせてもらうから」
それを聞いて増井さんが言いました。
「店長、私たちはそんなことをしに来たんじゃありませんよ。店長の代わりに働きに来たんですから」
「何だって?」
「昨日、八木さんから電話がかかってきたんです。店長が風邪で倒れてそうだから助けてやってくれって」
「余計なことを・・・」
「余計なことじゃないですよ、店長。昔私が風邪をひいて、ふらふらになりながら出勤してきたら、店長は私を見るなり、病人はお客さんの前に出てはいけないって言って追い返したじゃないですか。よもや、忘れたとは言わせませんよ、がんばって出てきた私はすごく悔しかったんですから」
「そうですよ、店長。レストランはお客様の口に入るものを扱うところです。病気の人間は働いてはいけません」
仙道さんも、増井さんに同調して言いました。
何だか自分が昔、彼女たちに向かって言ったような言葉です。
「あっ、人件費のことでしたらご心配なく。これはボランティアですから、無給で結構です。そのかわり、病気が治ったら仙道がこっちにいるうちに焼き肉でも、ぱーっとごちそうしてくださいよ」
そういう増井さんの横で、仙道さんも大きくうなづきました。
「おいおい、働かせて給料を払わないなんてことできるわけないじゃないか。だからサービス残業も一切廃止して、15分単位できっちり残業代を払ってきただろう。僕がそういうのを大嫌いなことを知らない君たちじゃないはずだ。それに君たちは春に退職しているんだから時給を払おうにも籍が無いよ。そんな人間を働かせるわけにはいかない。そんなことは社の規定に反する」
「へー、そうですか。じゃあ店長は店に籍のない人間を、しかも無給で働かせたことは無いとおっしゃるんですね」
「当たり前じゃないか。そんなことするわけがないだろう」
「ねえ、仙道? 店長は、ああ言っているけど、本当にそんなこと無かったかしらね」
増井さんが、仙道さんに聞きました。
仙道さんは、わざとらしい仕草で大きく首を傾げてから言いました。
「確か、今年の2月に・・・」
「うん、うん、2月に何だって?」
これまた、わざとらしい身振りで増井さんが身を乗り出します。
「中学生の、職場体験がありました。3人の中学生が、二日間働いていきました」
「そうそう、そんなことがあった、あった」
「3人とも一生懸命働いてくれました。高校に入ったらここでアルバイトするなんて言ってくれてました」
「かわいいやつらだったね。ところで店長?」
増井さんは、僕の方に振り返ると目を細めました。
「あの中学生って、店に籍はありましたっけ?」
「中学生なのに、あるわけないだろう」
「お給料は、払ったんですか?」
「払っていない・・・」
「ということは店長」
「待て、増井君。あれは中学生の教育の為に学校から要請されて引き受けたんであって、普通の場合じゃないから・・・ お給料も払わなかったんじゃなくて、教育の一環だから払うことができなかったんだよ」
「では、特別の事情があれば、籍のない人間を無給で働かせてもかまわないということですね。はい、これで店長の言う原則は崩れました。そして今は特別の場合です」
増井さんは、勝ち誇ったように言いました。
「しかし・・・」
「店長も往生際が悪いですね。人の好意は素直に受けるもんですよ。私たちが代わりに働きますから。それとも何ですか? 私たち二人でも店長一人分の仕事はできないとでも言うんですか」
「そういうわけでは・・・」
「じゃあ、裏で休んでいてください。何かあったら呼びますから。本当は今すぐに帰ってほしいんですけど、そうはしてくれないでしょう? そして21時になったらすぐに帰ってください。21時までいれば、とりあえず店長としての責任は果たしたと言えるんじゃないですか」
「だめだ、21時では帰れない。0時に売上金の精算をやらなければならないから、それまでは絶対帰れない」
「だいじょうぶですよ。ちゃんとそのことも考えてありますから」
「まさか、増井君。君が残って精算をやっていくって言うんじゃないだろうな。それだけは、絶対だめだよ。この上君を9時間以上拘束することはできない」
「店長がそう言うことは計算済みですよ、誰が計画を立てたと思っているんですか」
そうだった、彼女たちのバックには八木さんがいるんだった。
おそらく、さっきの中学生の件も僕の反論を想定して、八木さんが二人に入れ知恵したに違いありません。

 恐るべし、八木響子!

「21時に伊達さんが来ます。彼女が精算まできっちりやってくれますからご心配なく」
なるほどそういう計算か・・・
伊達さんは、増井さんと同学年でやはりこの春大学を卒業して就職した人間です。
伊達さんは、就職した企業の研修が他より早く2月末に始まるので増井さん、仙道さん達より一足早く1月いっぱいで退職しました。3人とも、夏休みでたまたまこちらに時を同じくして帰ってきていたわけです。
この春卒業したメンバーの中でリーダー格だった3人が、ここにそろい踏みするということになります。
八木⇒伊達⇒増井⇒仙道とつづく、リーダーの系譜はまだ生きていたわけです。
この4人が揃っていた去年の1年間は、うちのホールはまさに最強でした。
僕はだんだん、彼女たちの好意に甘えることに心が傾いていました。
「しかし、君たち。大事な休みをこんなことでつぶしていいのかい?」
「いいんですよ、店から離れてみると時々懐かしくなるんです。たまに、一日だけなら働いてみるのもいいかな、なんて思ったり。働いていた頃は店長にいじめられて苦しかったですけど」
「いやいや。そんなはずは・・・」

かくして僕は15日の日は、21時までデスクワークをした後、帰宅しました。
その間、薬は効かず、時間とともに頭痛と吐き気はひどくなっていきました。
あのまま働いていたら、本当に倒れていたかもしれません。
今回は、本当に彼女たちに助けられました。

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コメント

やりますねぇ 彼女たち。。 あっぱれ!の一言ですね。
でも 困ったとき、助けてくれる人がいる っていうことだけで、店長さんのスタッフの方々との接し方は相手を尊重するものなのだろう と思いました。
しっかり体を治して また皆さんとの毎日をお話してください。

投稿: aki | 2006年8月19日 (土) 19:33

いい話ですね。
ジーンときちゃいました。うらやましいというか少し自慢に聞こえちゃいましたよ(笑)
私もそんなチームづくりを目指して頑張ります。

投稿: 札幌ひとり暮らしブログ | 2006年8月20日 (日) 00:01

風邪、良くなりましたか??

やっぱ、仲間って良いですね(≧ω≦)b


みゆは、4連休頂いたのですが、最終日はPTA球技大会だったんです

疲れが出てしまったのか、変な咳が出ています

早く治さなくちゃ・・・

投稿: ファミレス・ガスト☆奮闘記!みゆりん | 2006年8月22日 (火) 19:23

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