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2006年8月12日 (土)

スーパー・アルバイター PART 15    深夜のドン 3

  PART 1から読むにはこちらへ

さらに武内君は続けました。
「日によって違いますけど、1時か遅くとも2時からは僕一人でキッチンを見ています。2時まで二人いる時は、それまでに食事休憩を30分取ります。でも1時から一人の時は、まさか来てすぐ休憩に行くわけにもいかないじゃないですか。だからそういう時は、一人になってから隙を見て食事に行くんです」
0時から8時までの8時間拘束のスケジュールの場合、30分の休憩と15分の休憩があり、合計45分の休憩時間となります。
彼はその休憩を入客の間隙を縫って取得しているというのです。
しかし、当然オーダーが入れば休憩中でも呼ばれることがあるでしょう。
一人でキッチンを見ている以上、仕方ありません。
「店長、誤解しないでほしいんですけど、スケジュールに不満があると言っているんじゃありません。前の店長の時に、納得ずくで引き受けたシフトですから。その分、高い評価給ももらっていますから文句は言えません。ただ、入客の合間を見てやらなければならない仕事をこれ以上増やされると、朝までにやらなければならない仕事が終わらないかもしれません」
「その点については、ランチ分のプリパレを前倒しで深夜にやっていたのをやめようと思う。その分時間的には余裕が出ると思うんだけど」
「店長、僕の言っていることと話が逆ですよ」

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その時、プリンタからオーダーの印刷されたチェックが、電子音とともに出てきました。
「ちょっと、済みません。オーダーです」
武内君はキッチンに入っていきました。
「オーダーお願いしまーす」
ホールから声がかかりました。
「店長、こういう事ですよ。大事な話をしていてもオーダーが入れば中断しなければならないんです」
なるほど確かにその通りかもしれません。
武内君は、4品ほど料理の入ったチェックの調理を進めながら、再び僕に話し始めました。
「むしろプリパレの方が深夜にやるべき仕事じゃないですか? プリパレならキッチンの中でできる仕事ですから、すぐに中断してオーダーにかかれます」
「確かにそういう面はあるかもしれない。でも、僕は基本的にプリパレは、できるだけ使う直前にやるべきものだと思う。朝の3時に切った野菜を実際にお客さんが食べるのは、お昼の12時なんて素直に考えればおかしいと思わないかい」
「それはそうですけど、そもそも深夜に野菜を切ったりするようになったのは、スケジュールが削減されたからですよ。ランチの人員が減ったから、その分厳しくなった作業を前の店長が、深夜に振り分けたんです。深夜の人員も減って一人でやる時間が長くなったので、一人でもできるプリパレが深夜に回ってきたんです」
武内君はそこまで言うと、サラダを完成させてディッシュアップしました。
「プリパレを深夜に持ってくることによってランチの負担を減らし、その分スケジュールを削って人件費を削減したのが始まりです。だから、そこに手をつけずに作業だけ入れ替えてもうまくはいきませんよ」
武内君は断言しました。
しかし、ここで折れては僕の計画がすべて水の泡になってしまいます。

  PART 16 につづく

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