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2006年8月 3日 (木)

スーパー・アルバイター PART 12    ランチの女王 4

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朝の3時にプリパレ(野菜類の前準備)をするのがまずいのなら、同じ理由で3時に解凍作業をするのもまずいのではないか?
堀田さんの疑問は、至極もっともです。
「店長は、朝3時にカットされた野菜を9時間後にランチタイムのお客さんが食べるのはおかしいと言われましたよね。解凍にも同じことが言えるんじゃないでしょうか」
「確かに、そうですね。いやそこまで堀田さんが気づくとは思いませんでした。でも、だいじょうぶです」
「どうするんですか?」
「冷凍庫から出してしまうから、食材が劣化するんですよ。だったら、ギリギリまで出さなければいいんです」
「何を言ってるんですか店長、お話が分かりません」
冷凍庫から食材を出してくるのが解凍ですから、冷凍庫から出さなければいいというのは意味が通りません。
実は僕はこの時、わざと分かりにくく表現したのです。
「堀田さん、解凍作業はどうやって進めますか?」
「まず解凍されている食材の残数を数えます。その時点で賞味期限切れのものは破棄します。そして、予定量と照らし合わせて足りない数量を冷凍庫から冷蔵庫に移動します」
食材には、24時間かけて解凍した後、賞味期限がプラス24時間のものや48時間のものなど違いがあります。
それを考慮して算出された予定量にそって、冷凍庫から食材を必要量だけ取り出して移動するのです。
解凍食材は、数十種類ありますから、マイナス20度の冷凍庫の中で、選び出してカウントするだけでも時間がかかり、つらい作業です。
「そこでなんですが、良いものを用意しました」
そういって僕はその場を離れると、店長室からプラスチック製のコンテナを二つ持ってきました。
大きさは60cm×40cmの高さが40cmあります。
「これが僕の秘密兵器です」

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堀田さんは、プラスチック製のコンテナをうれしそうに運んできた僕を見て、不思議そうな顔をしています。
「一番時間がかかるのは、必要な数の食材を取り出してくるところですよね。ですから、深夜のメンバーには食材をこのコンテナの中に仕分けして入れてもらうようにしましょう。問題ないですよね」
「はい。でもそれにどんな意味があるんですか?」
「深夜のメンバーには、解凍食材をコンテナの中に入れるところまでしか、やってもらいません」
堀田さんは、まだ僕の考えていることを理解していないようでした。
「つまり、このコンテナは冷凍庫の中に入れたままです。その為におととい僕は、深夜の武内君と一緒に冷凍庫の中を整理して、コンテナを置いておく場所を確保しました。そして、堀田さんたちは朝11時になったら、このコンテナを冷凍庫から冷蔵庫へ運んでください。運ぶだけなら1分もかかりませんよね」
「なるほど、店長のおっしゃることが分かりました」
堀田さんは、大きくうなずきました。
「こうすれば解凍の最も手間のかかる部分は深夜に回すことができます。しかも、実際に冷凍庫から出すのは11時ですから、時間的には朝11時に解凍したことになります。解凍が終了して使えるようになるのが、翌日の朝11時です。毎日、ランチピークの前に新しい食材が使えるようになるんです。これなら14時に解凍するより、時間的にもベストだと思いませんか?」
堀田さんは、僕の言葉を聞き終わると口を開きました。
「店長がそこまで考えているとは思いませんでした。分かりました、その方法でやってみます。プリパレの方も私たちなりに考えて、もっと効率よく進めることを考えます」
僕は、問題点を提起し、自分の方針を伝え、さらにそれに付随する障壁を解決する方策を示したわけです。
高い意識を持ったアルバイトさんの信頼を得るには、こうして地道に実績を積み上げていくしかないと僕は思っています。
堀田さんは、コンテナを持ち上げて重さを確かめながら僕に向かって言いました。
「でも、深夜のメンバーは解凍についてなんて言ってましたか?」
「いや、別に。みんな快く引き受けてくれたよ」
実は、そうでもなかったのですが・・・

  PART 13 につづく

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