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2006年7月23日 (日)

スーパー・アルバイター PART 7  孤高のリーダー 7

  PART 1から読むにはこちらへ

僕とアルバイトの矢口さんは長い話し合いの末、協力して発注精度の向上と、在庫の削減を目指していくことになりました。
矢口さんは、Excelで食材の発注量の予測ファイルを作ると僕に言いました。
実はその数年前に、まだ副店長だった僕は同じようなことを試みたことがあったのです。
その時僕は、Excelにはファミレス(ファミリーレストラン)の、食材分析に使うには、致命的な欠点があることに気づきました。
それは、Excelの機能上の制約から発生します。

発注量の予測をするには、1つ1つのアイテム(料理)に使う食材の量を細かく分解する必要があります。
たとえば、Aという料理には、キャベツスライスを60g、トマトを1/6個、レモンを1/6個、ポテトサラダを60g、ドレッシングを30g、etc,etc
これは付け合わせの一例です。
このような分解を、1つ1つの料理について全ての使用食材の使用量を、マニュアルから拾ってくるのです。
このデータと、メニューの販売予測をかければ、食材の使用量の予測ができます。
これを基に精度の高い発注を試みようというのが矢口さんの考えです。
しかし、メニューのデータを拾ってくるのは大変な作業になります。
メニューの種類は、フェアメニューやデザートも含めれば150種類以上あります。
メニューの分析には、単品やセットも考慮する必要があります。
基になるPOSデータが、細かく別れた数字で出てくるからです。
結局、メニューは200以上に細分されてしまいます。
さらに、食材の種類も200以上あります。
レシピを入力するだけで、縦軸に料理、横軸に食材をとった広大な表が必要になります。
データ数は、縦横それぞれ200以上なんですが、はたして・・・
予想通り数日して、矢口さんがやって来ました。
「店長、Excelでファイルを作っていたんですけど、ちょっと問題が・・・」

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「どうしたの?」
僕は、だいたい予想はついていまいしたが訊きました。
「メニューの分解をやっていたんですけど、料理の方も、食材の方も200以上になるんです」
やはり、予想通りでした。
矢口さんのパソコンに入っているExcelは、僕のものよりバージョンが新しいと聞いていたので、ひょっとしたら変わっているかもしれないと思っていまいしたが、そうではなかったようです。
「今はちょうど2週間後にメニュー変更を控えていますよね、そうすると新旧両方のメニューをデータに入れなければならないんです」
「そういうことになるね」
「新旧のメニューを合わせると、260を超えるんです。食材の方も250以上になります。表に収まり切れません」
そうなんです、Excelの表の横軸は最高で、256列までなんです。
ですから、それ以上のデータは入力できません。
ちなみに、縦軸は65536行まで入力できます。
つまりExcelは、256種類以上のデータを処理するようには作られていないのです。
この256という数字が、一般的に必要十分かどうかは、僕には分かりません。
しかし僕が初めてExcelを使ってから10年以上経っていますが、その間に拡張されなかったのですから、マイクロソフトはこれで十分だと考えているのでしょう。
それとも何かの制約があって、256列以上に拡張できないのでしょうか?
そう考えると、256という数字はコンピュータにとっては意味深な数字で、何か理由があるのかもしれません。
縦軸の、65536行も、256の倍数だし・・・
どなたか知っている方は、いませんでしょうか?

「そうなると、しばらくは新メニューと旧メニューの2つに分けて計算するしかないね」
結局そういうことです。
新メニューと、旧メニューの両方のデータを処理しなければならない数週間は、2種類のデータベースを使わなければならないというわけです。
「思ったより大変でびっくりしました。マニュアルから、データを拾ってくるのも手間がかかるし。実はまだ全体の三分の一しか終わっていないんです」
「いい方法があるよ。うちには歩くマニュアルがいるじゃないか」
「えっ、もしかして川上さんのことですか?」
「そうだよ、かれは来月昇格試験を控えているからマニュアルも勉強しているはずだ。あいつに入力させればいい」
川上というのは、入社2年目のキッチン担当社員のことです。
1つ1つマニュアルから数字を拾うのと、頭の中の記憶から引っ張り出してくるのでは効率が違います。
社員の川上君には、試験に備えて全てのマニュアルを暗記するように命じてあったので、彼に入力させればその確認にもなります。
「彼に入力させて、もし間違いがあったら、昇格試験の推薦状は書かないと脅してみよう」
「そんな・・・ 川上さんに悪いです」
矢口さんはそう言いましたが、僕はすでに決めていました。
その日のうちに僕は川上君に、矢口さんから聞いたファイルが保存されているディスクスペースのアドレスを伝えました。
そして、ファイルをダウンロードして、3日以内に残りのデータを入力するように指示しました。
しかし、これが川上君を不幸に陥れてしまいました。

  PART 8 につづく

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