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2006年6月16日 (金)

世界最速のバイク、ZZR-1100 PART 2

ZZR-1100の限界を探る為、J自動車道Kトンネルで最高速に挑戦した僕ですが、少し誤算がありました。
トンネルの長さは約1500mです。
突入時点での時速は180キロでした。
横風の影響を受けないトンネル内で、最高速を出そうとしたわけです。
しかし、1500mと言う距離も、時速200キロを超えるスピードでは通過に30秒もかかりません。
さすがの、ZZR-1100も230キロを超えると加速が鈍り、速度計の針も、じりじりとしか上がらなくなりました。
はるか先に点のように見えていた出口の明かりが、みるみるうちに大きくなっていきます。
あと数秒で出口まで達してしまうと分かり、僕は選択を迫られました。
その時点で、速度はメーター読みで250キロ。
このまま、加速を続けるか、それともあきらめるか・・・

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僕は加速を続けることにしました。
こんな挑戦は滅多にできるものではありません。
トンネルを出た後も、その先はほぼ直線道路であることは確認してありました。
トンネルの出口近くで僕は、体を小さくしてショックに備えました。
前方からの風はカウリングによって完璧に遮られており、ほとんど感じることはありませんでした。
ただし、横からの風は車体全体にかかります。
バイクは横方向の方が、投影面積が圧倒的に大きいので影響があります。
トンネルの出口にさしかかり外の空気に突入すると、一瞬の気圧変動を感じました。
あきらかに、違う種類の空気の壁を突き破った感覚を覚えました。
100キロ前後のスピードだと、ライダーが戦う相手は感覚的には路面です。
パワーを路面に伝え、けっ飛ばして、前に進む。
そういう感じです。
しかし、250キロのスピードになると、戦いの相手は空気です。
その世界ではすでに空気は、柔らかくありません。
カウリングに守られた範囲から少しでも、手を外に出そうものなら強烈な力で後方に弾き飛ばされます。
道路や回りの景色は河のように流れ、後方に飛び去ってゆきます。カウリングの中は意外に風の音は少なく、エンジンの音が良く聞こえます。
道路の振動も、優秀なサスペンションがあればあまり感じなくなります。
流れる視界、一定の周波数のエンジン音と振動。
夜であれば、まるで止まっているように感じます。
ZZR-1100は抜群の直進安定性を誇っていたのでなおさらでした。
バイクに関してジャイロ効果がどう働くのか、僕は詳しくありません。
しかし、エンジンは毎分10000回転、もっと質量の大きい前後2つのホイールも毎分2000回転で回っています。
倒そうと思っても倒れないのではないか、シートの上で僕はそんなことを考えていました。
そのスピードではハンドルを切って曲がることはできません。
そんなことをしたら、一瞬のうちに転倒です。
重心の移動によって、バイクを傾けて曲がらなければなりません。
ハンドルは、バンクをかけるきっかけとして、わずかにあてるような感じで切るだけです。
速度は、270キロに達していました。
が、しかし・・・

前方にわずかな右カーブを迎え、僕はZZR-1100を傾けようとしました。
だが、傾きません。
ZZR-1100は乾燥重量228キロ。
ライダーを合わせれば300キロを超えます。
それだけの質量が時速250キロで直進するエネルギーに対抗してバイクを傾けるには、それなりの力が必要です。
ZZR-1100は傾かず曲がらないのに、カーブは迫ってきます。
地図では直線に見えた道もわずかながら左右に蛇行していたようです。
通常のスピードであれば、あまり意識することもなく通り過ぎるところですが、今日はスピードが違いました。
僕は意を決して、少し強めに舵をあてて強引にZZR-1100を傾け、道幅いっぱいを使ってかろうじてすり抜けました。
カーブを抜けた時、背中に汗がどっと吹き出るのを感じました。
僕はそこまでで最高速への挑戦を中止することにしました。
記録は、メーター読みで270キロ。
まぁ、十分だと思いました。
その時です。
フロントに、コツンというショックを感じました。
そして、フロントがわずかに浮き上がるのを感じました。
道路の継ぎ目だったのだと思います。
前輪が浮き上がったので、後輪の突き上げは少なくてすみました。高さにすれば、10センチぐらいだと思います。
フロントのサスペンションが伸びたので、前輪は接地していました。
しかし、接地しているというだけで、過重がかかっていないことは明らかです。
タイヤは前後とも接地していましたが、実質的には車体は宙に浮かんでいました。
道路のわずかなギャップで、ジャンプしたような状態だったわけです。
これも普通のスピードならば、問題にならない程度の段差だったはずです。
このジャンプ状態は、その先の道路がギャップを起点として下り坂になっていたらしく、滞空時間の長いものでした。
短い周期の振動には慣れていますが、そんな長い周期の振動というか、上下動は初めての経験でした。
船に乗った時のような感じでした。
完全な直進状態であった為、何事も起こらずZZR-1100は着地しました。
僕はゆっくりエンジンブレーキで減速して車速を100キロまで落としました。
250キロ超の世界からすると、何とゆっくり感じられたことでしょう。
と言うことで、僕のバイクでの速度記録はメーター読みで270キロ。
実質では、250キロというところだと思います。

高速状態でバイクが曲がらないという件ですが、後でレース経験のある友人に訊いてみたところ、それは僕が未熟だからだということでした。
彼は、どんなスピードで走っていようと、バンクのきっかけを作ることは可能だといいました。
僕は、ハンドルを切ったつもりでしたが、実はびびってしまい切れていなかったのが原因だということです。
何にしても、いい経験でした。

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コメント

ものすごいリアルな270km/hの描写。読んでいるうちに引き込まれました。うー怖っ。面白かったです。ありがとうございました。ランキングクリックしておきました。ではまた

投稿: 転職面接一 | 2006年6月17日 (土) 13:12

まるで 小説を読んでいるようでした
すごい!!

投稿: | 2010年10月 3日 (日) 16:24

ん~・・・・。これは、本当の話?
私は、900ニンジャで250キロ、ZZ-R1100で280キロ、いずれもメーター読みで東名高速をしょっちゅう走ってました。
実際に走ると、感覚での記憶でしかなく、私は言葉にはできません。ましてやサーキットではなく公道です。ハイスピードで、100キロ以上の速度差で次々と現れる車をかわしながら走らなければならないのです。
考えることは、車の動きを予測して最大の注意をはらうこと以外にはありません。
これだけ冷静に、事細かにかかれると小説のようで、現実味に欠けますね。

ちなみに、900ニンジャは250キロで5分も走るとカムシャフトがいかれます。これは、ヨシムラのステージ1もしかり。
そして、ZZ-R1100の280キロよりも900ニンジャの200キロの方が、はるかに体感スピードは高いです。

投稿: 元ニンジャ乗り | 2011年2月 1日 (火) 18:55

元ニンジャ乗りさん。
コメントありがとうございます。
当時の常磐は深夜の交通量はほとんどゼロでした。(90年代)

なので、車を避ける必要は全くなく、上り路線のど真ん中をズドーンとひたすら直進するのみでした。

なので事前に地図で直線が続く場所を探しました。時間も選びました。

僕は限定解除にもそうとう苦労した人間なので、そうでなければとてもそんなスピードは出せなかったと思います。

VFR750が日本仕様でリミッターが効いていたので、どうしても試したくてやりました。

以後は出しても160~170キロでした。

投稿: ばーど | 2011年2月 2日 (水) 23:50

ZZRで最高速。私も、D3に7年乗っておりましたので懐かしくなり最後までニヤニヤしながら読ませて頂きました。最高速も何度チャレンジしてもメーター読み270が限界でビビリリミッターが効いてしまってたのも思い出しました。あと、ニンジャもA3に乗っておりましたが、本当にこれが元世界最速か?って位ヨレヨレでパワーも無く220が限界だったのも懐かしい思い出です。

投稿: 元ZX11乗り | 2011年9月19日 (月) 11:45

最高速チャレンジは怖いですよね。
250Kmくらいだったら怖くないけど、これを超えると怖いです。

私もメーター読み275Kmまで出したことがありますが、すごい速さでした。
しかしZZ-Rは安定していたので、挙動の乱れは全くありませんでした。
もう2度とやる気はありません。

投稿: ZZ-R1100D2糊 | 2011年11月23日 (水) 21:14

バイクは次元が次元が違いすぎますね

先日ロードバイクで77km/h出ましたが…


空気の壁は自転車だと恐ろしく低くて

30km/hでも空気の質量を感じます

投稿: TVR | 2011年12月 7日 (水) 22:28

このバイクを雑誌で見て一目惚れしてしまい、限定解除して乗っていました。慣らし運転も終え九州自動車道で挑戦した事があります。私の場合250km位が限界(人的限界)でした。100kmで走っている車を速度差150kmでぶち抜く快感はたまりませんでした。もし翼があったらこのまま空を飛ぶ事が納得できるスピードです。しかし流石に怖かったですね。前方の車が急に車線変更しても石ころ一つ乗り上げてもあの世行きですから。車輪がロックしそうでブレーキもかけられなかったです。もう二度としたくたいですね。

投稿: 昔D3乗 | 2012年1月22日 (日) 11:13

楽しく読ませて頂きました。

私も14年前にZZR1100D6を新車で買い、夜な夜なS高やW岸でよく試してました。

メーターで250kmまでは本当に素晴らしい安定性なのですが、それ以上だと車体が軋んできて、腕があるライダーしか乗りこなせないと感じました。

私はW岸で、R33GTR と競争になりT橋の手前でメーター275kmが腕の限界でした。

R33はそれでもさらに加速し敗北感で一杯に…。

その後、自分の腕だとZZRは乗りこなせないと判断し売却。

以後11年間バイクは乗っていませんでしたが3年前に復活。

今はスピードとか勝ち負けに拘らずに楽しんでます(^_^)v

投稿: さっくん | 2012年4月18日 (水) 08:58

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