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2006年6月28日 (水)

パーキング・ソルジャー PART 1

PART 1 〝 WATER MACHINE GUN〝

ファミレスは色々な立地条件の場所に立っています。
場合によっては回りに民家が全くない店もあるでしょうが、そういうことはほとんどありません。
店のすぐ裏が住宅街ということもあります。
そうなってくると、近隣とのお付き合いも重要になってきます。
時にはトラブルになることもあります。
トラブルの原因になるのは、
騒音、
臭気、
駐車場の照明、
駐車違反、等でしょうか。
騒音にも色々ありますが、エンジンをかけたまま駐車場に止まっている車などがあると、車種とマフラーにもよりますが、かなり近隣に迷惑をかけてしまうようです。
駐車場ではエンジンを必ず切ってもらえるよう、お客さんにはお願いしています。
臭気は、主にゴミと厨房からの排気だと思います。
これに関しては、ゴミは必ず鍵のかかった保管庫に収拾時まで置いてあります。
厨房からの排気については難しいですが、排気ダクトを高くして向きを工夫することで、ある程度は改善できます。
その他にも、空調の熱気で暑いという苦情もありました。
エアコンの室外機が、屋根の上にある店は大丈夫だと思うのですが、これが駐車場の隅にある場合などは、そちらに面した住宅から苦情をいただくことがあります。
これも、ダクトを付けるなどするしかありません。
トラブルの元は色々ありますが、一番困ったのは、猫でした。
数年前に自分の店に猫が異常に、

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増えてしまったことがあるのです。
最初は、たまに姿を見る程度だったのですが、いつの間にか増えて気づくと、十数匹の猫が、駐車場をうろうろするようになっていました。
もちろん、常に駐車場に全ての猫がいるわけではないのですが、入れ替わり立ち替わり、常に数匹の猫が駐車場を歩いている状態になっていました。
これが犬ならば、保健所に連絡するなどできるのですが猫の場合、飼い猫の場合もあるので面倒です。
それだけの猫がいれば、当然敷地内で排泄をします。
この臭気が原因で、近隣の方から苦情をいただきました。
何とかしなければなりません。

要するに猫に駐車場から出て行ってもらえばいいわけです。
それには駐車場を猫にとって居心地の悪い場所にすればいいと思いました。
まず最初に試したのは、猫よけの薬でした。
顆粒状の薬剤で、3本分を駐車場の植え込みを中心にたっぷりと散布しました。
結果ですが、効果はあまりありませんでした。
僕がバックルームで悩んでいると、大学生アルバイトの高梨君が休憩に入ってきました。
「店長、どうしたんですか?」
彼が訊くので、事情を説明しました。
「いい方法がありますよ、僕のエアガンでそんな奴らは蹴散らしてやりますよ」
「まてよ、それはいくら何でも過激すぎるよ」
「店長、弱気になっちゃだめですよ。ちょうど最近いいものを手に入れたんですよ・・・」
彼によると、〝猛将〟という名前の台湾製のガスを手に入れたということでした。
これはノーマルガスより圧力が高いので、弾の初速が速くなりエアガンの威力が増すらしいです。
「だめだめ、絶対だめ! そんなことをしたら、あの店は動物虐待をする店だと言われちゃうよ・・・」
「そうですかぁ、別に命中させなくても効果があると思うんですけど。当たるか当たらないかのギリギリで、脅すぐらいのテクニックありますよ」
高梨君は自信たっぷりに言いましたが、僕は断りました。
「いや、エアガンで猫を追い回している姿を見られるだけで、そっちの方が苦情になるよ。それに万一、弾が人に当たったりでもすれば大問題だよ」
「わかりました。でも、それじゃあどうするんです?」
困ってしまいました。
その時、高校生アルバイトの近藤さんが言いました。
「店長、名案があります。この方法なら虐待なんて言われませんよ」
「何、どんな方法?」
「水鉄砲です。水鉄砲で猫を追い払えばいいんです。これなら絶対、虐待なんて言われませんよ」
近藤さんの、意外な提案に僕は驚きました。
「でも、水鉄砲なんかで猫が逃げるだろうか?」
すると、一度は自分の案を却下されて落ち込んだ高梨君が、急に元気になりました。
「店長、いいものがありますよ。電動のマシンガン型の水鉄砲を持ってます。これなら、飛距離10mです!」
「高梨君、君は色んなものをもってるんだな」
僕は感心しました。
高梨君が、水鉄砲を2台持っているというので、作戦決行を2日後午後5時としました。

2日後午後5時、高梨君は迷彩色のジャケットを羽織って登場しました。
僕は、苦笑しながら。
「だから、高梨君、そういう周りを刺激するような格好は、やめてくれよ。その格好では、水鉄砲もエアガンに見えちゃうよ」
「そうですか、脱いでもいいんですけど、下もこれですよ」
ジャケットの下からは、やはり迷彩色のTシャツが出てきました。「わかったわかった、着てていいよ。その、ぶっとい腕を出している方が返って怪しい・・・」
高梨君は、体のあらゆる部分を鍛えているので、二の腕の太さも尋常ではありません。
格好だけなら、特殊工作員といってもいいぐらいです。
そこに、学校帰りの近藤さんがやって来ました。
「店長、いいもの持ってきましたよ」
「なんだい?」
「エサですよ、エサ! まずは、猫をおびき寄せなくっちゃあ。それも、ボス猫を! そうして、そいつをやっつけるんです」
そう言う近藤さんの手には、ネコ缶がありました。
うーん、はたしてネコ缶ってネコの好物なんだろうか?
子供の頃飼ってた柴犬はドッグフードが、大っ嫌いだったけど・・・
「よし、作戦決行!」
近藤さんの、明るい声とともに我々は戦場へとおもむきました。

一人は、上下、迷彩服に守られた屈強な戦士。
一人は、スーツに身を包んだサラリーマン。
一人は、ブレザーにミニスカートの女子高生。

アンバランスな三人は、自らの戦場である駐車場へと足を踏み入れました。

   PART 2へ続く(明日、UP予定です)

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