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2006年6月22日 (木)

帰ってきたフリーアルバイター

昨日、アルバイトから去っていく人のことを書きましたが。
去る者があれば、また帰ってくる者もあります。
ファミレスに限らず、だいたい学生の場合は、どんなに長くても継続期間は3年です。
3年経てば、進学や、就職等それぞれの道に旅立っていきます。
店長としては、そういう人には感謝の気持ちでいっぱいです。
特に、自分で採用してそのまま卒業まで働いてくれた子などは、本当にかわいいです。
(変な意味ではありません)
数あるアルバイト先の中から、ファミレス、それも自分の店を選んでもらったことに感謝です。
勤務中は、それはこちらも仕事ですから、色々うるさく言うけれど、本当は感謝しているんだよ・・・
在籍中は、間違ってもそんなことを悟られないようにしていますが、本心はそうです。
ですから彼らには最後の日に、ささやかな感謝の品を贈ることにしています。
ところが、そうして送り出したのに帰ってくる人間がいるんです。先日、地元の高校を卒業して某カジュアルチェーンに就職した皆藤君。
彼は、1年の時から卒業まで丸々3年間僕の店で働いてくれました。
配属される店が決まったら、ぜひ服を買いに来てくださいなんて言って別れたのが3ヶ月前です。
地元ですから、たまに食事をしに来てはいたんですが、ここ1週間の間に、複数のアルバイトから皆藤君が店に来たことを聞いていました。
何か、おかしいなあと思っていたんですが、ついに僕が店にいる時間に彼がやって来ました。
もうそろそろ、帰ろうとしていた時でした。
「店長、やっと会えましたよ。最近は深夜には入っていないんですね」
皆藤君はカウンター席に座ると言いました。
「店長、お願いがあるんです」
そら来た!

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「何? いきなり・・・ そんなことより仕事はどうなの? 店の配属も決まる頃だろう。もうすぐボーナスだから、どっさり買い物してやるから期待してよ。で、店はどこなの」
「いや、それが・・・」
「多少遠くったってかまわないよ。車で行くから心配しないで。で、どこ? どこなの?」
僕は、皆藤君の事情を分かっていて言っているのです。
「いや、店長。実は会社を辞めちゃったんです。だから、店には来てもらえません」
皆藤君は、うなだれました。
「そんなことだと思っていたんだよ。仕事があるはずなのに深夜に店に来ているって聞いていたから、怪しいと思っていたんだけど、やっぱりそうか。まったく、根性無しなんだから、情けない・・」
「いや、店長、これには色々事情が・・・」
「そりゃあ会社を辞めるくらいだから事情はあるだろうさ。でも、どんなことがあろうとも、3ヶ月で辞めるのは、早すぎる!」
皆藤君が店を辞める時、何があっても最低2年間は辞めずにがんばれと言って、送り出したのですが・・・
彼の名誉のために言っておきますが、皆藤君は決して根性無しではありません。
彼はファミレスのキッチンという、楽ではない職場で3年間がんばってくれました。
最後の1年間は、本当にキッチンの中心メンバーとして、店になくてはならない人間として貢献してくれました。

料理が遅い!
盛りつけが汚い!
出す順番が違う! 

いつも、怒られるのは皆藤君でした。
新人を怒る訳にはいかないからです。
彼は、そんな損な役回りを文句も言わずに(いや、たまには言ったか・・・)務めてくれました。
そんな彼が、辞めるにはそれなりの事情があったのでしょう。
「店長、また働かせてください。もう高校生じゃないから、深夜も働けますよ」
「残念だな皆藤君、当店では君のような根性無しを雇うわけにはいかない。それに、今は人員は足りているし」
人員が足りているというのは嘘なのですが、どうやらその辺の事情は既に、皆藤君はリサーチ済みのようでした。
「だめですよ店長、嘘を言っても。夏休み前に2人辞めるメンバーがいるらしいじゃないですか。新人を採用するより僕の方が即戦力ですよ」
僕は、その時働いていたウェイトレスの中野さんの方を睨みました。
僕に見られて、中野さんはあわてて客席の方に逃げていきました。どうやら、情報源は彼女らしいです。
人員不足の時に、経験者、しかもできる人間が戻ってくることは、その面ではプラスでしょう。
しかし、素直に喜べないのも確かです。
これが、会社を辞める前の相談なら断固突っぱねて、思いとどまらせるところですが、彼はすでに退職しています。
「そこまで言うなら採用してもいいけど、一度辞めているから、評価給はゼロに戻るけどいいの?」
皆藤君は、退職時に評価給が100円付いていました。
「でも、店長。今度は高校生じゃなくて一般扱いですから、基本給が、750円じゃなくて、800円ですよね。800円あれば十分です!」
うちの店では、高校生までは、基本給750円。それ以上の一般は800円です。
皆藤君は、評価給は無くなりますが基本給が上がるので、時給800円ということになります。
深夜22時から5時までの間に働けば、25%増しの1000円ということになります。
深夜も働けるようになった彼が戻ってくれれば、うちの店のスケジュールの柔軟性は飛躍的に高まります。
「わかった、2週間先までは、もうスケジュールが確定しているから、その先の予定を出していってよ」
僕がそう言うと、皆藤君はすでに用意してあった8月いっぱいまでの予定表をうれしそうに出しました。
こう言うところは計画性十分です。
そして、「ありがとうございます」と言って帰って行きました。

その後ろ姿を見ながら、僕は考えました。
一度退職すると、評価給がゼロになるというのは本当なんですが、店長の裁量で特別の場合は6ヶ月以内なら評価給を引き継ぐこともできます。
皆藤君には、ゼロになるといいましたが、仕方がない。
評価給を継続できるように、申請を出しておくか・・・
ToDoリストにその件を書き込むと、僕は店を後にしました。

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コメント

ばーどさん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございました。
皆籐君どうしてやめてしまったのでしょうね。
とても大変な事情がおありなんでしょうね・・・(><)
私の店にも、「出戻り」さんたち多いです。
私の業界では一週間ずつのシフトの提出なので、時間の融通が利きますので、副業にはもってこいなんでしょうね・・・。
確かに即戦力にはなるんですけど。
ばーどさんのブログを見てるとまるで自分のお店を見ているようで、おもしろいです。(いろいろ大変なこともあると思いますが)
もしよろしかったらリンクを貼らせていただきたいのですがよそしいでしょうか?
長くなってしまって申し訳ありません。またお邪魔させていただきます。

投稿: はち | 2006年6月23日 (金) 09:56

ランキングからやってきました!
はじめまして、happyです。
チョコチョコ寄らせて頂きたいと思い
ますので、今後とも宜しくお願い致します。
応援!ポチ!させて頂きます♪

投稿: happy | 2006年6月23日 (金) 16:14

はちさん。
コメントありがとうございます。
皆藤君が辞めた理由は、他の会社の「事情」が絡むので書くわけにはいかないのです。
しかし、僕が聞いてもちょっと理不尽なことが起きたようです。
僕の店では、基本的に1ヶ月単位のスケジュールを前月の20日までに出してもらっています。
最初は1ヶ月先の予定なんてわからないと、ブウブウ言われましたが、1ヶ月先だから良いんです。
大事な予定なら1ヶ月前だって決まっているだろうし、そうでもない遊びの予定なら1ヶ月前には決まっていません。
だから、そう言う予定はスケジュールのオフの日に入れてもらうんです。
かえって直近の予定を出させる方が、迷いを生じさせるような気がします。
それにこういうシステムが定着すると、働けると予定を出した日に遊びの予定を入れたくなったアルバイト君は、自分で代わりを見つけてきます。
みんな、お互い様ですから、明日は我が身と思って協力し合うようになります。
病気で休む時も、そのことを電話してくる時には、すでに代わりが彼らの間で決まっています。
まあ、定着するまでには彼らとの間に戦いがありましたが・・・

リンクの件ですが、明日このブログにもリンク集を設定します。
ちょっと、やり方を忘れてしまったので・・・
では、よろしくお願い致します。

投稿: ばーど | 2006年6月24日 (土) 01:06

happyさん。
コメントありがとうございます。
こちらこそよろしくお願い致します。
これから、happyさんのブログへ飛びます。

投稿: ばーど | 2006年6月24日 (土) 01:15

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