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2006年6月29日 (木)

パーキング・ソルジャー PART 2

   PART 1 より続く

PART 2 〝 VANILLA BULLETS〝

駐車場に集まるネコの撃退のため、立ち上がった我々3人は、それぞれの装備を手に戦場へと向かいました。
ソルジャー1、高梨隊員の手には、電動ウォーターマシンガン1丁(射程距離10m)
ソルジャー2、佐野隊員(僕です)の手には同じく電動ウォーターマシンガン1丁。
ソルジャー3、近藤隊員の手には、ネコ缶1個。

駐車場のようすを覗くと、6匹ほどのネコが確認できました。
さらに注意深く観察すると、ボスネコと思われる大きなネコも発見できました。
我々はこのボスネコを、〝ターゲット1〟と名付け第一目標としました。
「よし、行くぞ」
僕が言うと、近藤隊員が手を挙げました。
「待ってください店長、作戦は?」
作戦なんて考えていません。
ただ、ネコに向かって、水をかければいいと思っていたのですが、近藤さんは言いました。
「店長、作戦は絶対必要ですよ。高梨さん、このウォーターガンの射程距離は?」
「10mだけど・・・」
「じゃあ、最初の一撃から、ネコが射程外に逃げるまで何秒かかります? その間に、どれだけ水をかけることができますか?」
確かにネコの脚力をもってすれば、

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あっという間に10mの射程外に逃げてしまうでしょう。
その間に、ねらいを付けながらどれだけ命中させられるかというと疑問です。
「でしょう、それじゃあ一時的に追っ払うだけで、効果はありませんよ。ネコに、ここは居心地の悪い場所だとはっきり分からせないと・・・」
近藤さんは続けます。
「まず、駐車場の周りは生け垣だから、その下に潜り込んで外に逃げられないように、店長と高梨さんで左右から外に逃げられないように牽制しながら、駐車場の奥に向かってネコを誘導してください」
なるほどと思いました。
駐車場の奥は、店の建物の左側に向かって回り込むようになっているので、幅が狭くなります。
そして更にその奥には、搬入口があります。
納品のトラック等も入ってくる為、騒音防止を考えてそのあたりは周囲をブロック塀が囲んでいます。
一方向を店の壁、二方向をブロック塀に囲まれた袋小路のような形状になっています。
ここに誘い込んで追い込んでいけば、ネコたちに逃げ場はありません。
「すごいよ近藤さん。その作戦で行こう」
高梨君が、すぐに賛成しました。
「わかった、じゃあその方法でいこう。僕は駐車場の左側からネコたちを駐車場の奥に誘導していくから、高梨君は右側を守ってくれ」
僕がそういうと、近藤さんは秘密兵器があると言ってポケットからピストル型の水鉄砲を取り出しました。
「なんだい、それ? 電動じゃないよね?」
高梨君が、不思議そうな顔をします。
「電動じゃないですけど、これは弾が違うんです、弾が!」
僕は、あわてて訊きました。
「おいおい、まさか毒とか入れてんじゃないだろうな?」
「違いますよ、それじゃあネコがかわいそうでしょ」
「じゃあ、タバスコを入れたとか・・・」
高梨君が言いました。
「残念ハズレ。入れたのはバニラエッセンスです。香りの強力なやつを、たっぷりと入れておきました」
「バニラぁ?!」
僕と、高梨君は同時に声を上げました。
「それって、どういう効果があるわけ?」
「ほら、動物って匂いに敏感じゃないですか。犬とかネコは縄張りに、おしっこしてマーキングとかするし。だから、強力なバニラの香りを体にたっぷり吹き付けてあげれば、きっと嫌がって近づかなくなりますよ」
「うーん、なるほど・・・」
はたして、本当にバニラの弾丸が効果があるのか不明ではありますが、作戦は決行されました。

決行時、駐車場には計6匹のネコがいました。
高梨君と僕で、水を少しずつ発射しながら、徐々に彼らを駐車場の、奥へ奥へと追い込んでいきます。
ネコはすぐに生け垣の下に潜り込もうとするので、その時は集中的に放水して逃げ場を封鎖します。
追い込む課程で1匹に逃げられましたが、残りの5匹は搬入口の方へと追いつめられていきます。
「店長、あと少しですよ」
近藤さんが、バニラの銃を片手に後方を守ります。
「高梨君、水の残量は?」
「OKです、十分に残ってます」
「ようし、最後の詰めだ」
ボスネコを含んだ5匹は、徐々に駐車場の奥へと追いつめられていきます。
その頃になると、ネコたちもようやく自分たちの運命に気づいたようでした。
ついに、ネコたちは駐車場の隅に追いつめられました。
ボスネコは、敵意のこもった目でこちらを見ながら、うなり声を上げています。
「そんなに、にらむなよ。こっちはここから出て行ってほしいだけなんだから・・・」
ついに彼らを3mの距離にまで追いつめた時でした。
僕たちは判断ミスを犯していました。
射程は10mあるのだから、ある程度離れたところから放水すれば良かったのです。
しかし、僕たちは近づきすぎました。
近距離では、ネコの素早い動きに狙いを合わせるのが追いついていかないことに気づいていなかったのです。
5匹のネコたちは、意を決したように急に反撃に転じました。
5匹それぞれが、僕たちに向かって飛びかかってきたのです。
僕と高梨君に2匹ずつ。
近藤さんにも1匹が飛びかかってきました。
彼らは、3mの距離を一気に詰めると、見事に攻撃に転じました。
「うおっ!」
「うわっ!」
「きゃぁ!」

僕たちは一気に劣勢になりました。
至近距離に飛びかかられては、水鉄砲は役に立ちません。
近藤さんはパニックになり、バニラの弾丸を乱射しまくりました。
5秒ほどで勝負は決まりました。
彼らは、我々の手にひっかき傷を作ると、それ以上深追いはせずにそれぞれ別の方向に向かって逃げ去っていきました。
一瞬の判断と見事なチームワークでした。
「近藤さん、ケガはないかい?」
「私は、服を引っかかれただけでだいじょぶです」
「僕は、左手を引っかれちゃいました」
どうやら、ケガをしたのは高梨君と僕だけのようでした。
まあケガといっても、かすり傷でしたけど。
それよりも、最大の被害は別にありました。
パニックになった近藤さんが乱射したバニラの弾丸は、ほとんどネコたちには命中せず、大部分が僕と高梨君に当たっていたのです。
僕と高梨君は、体中に強力なバニラエッセンスの香りを浴びてしまいました。
「うわっ、店長すっごく臭いですよ。あぁ、高梨さんの方も凄い香りだ!」
近藤さんは笑いますが、僕たちは大変です。
まるで、頭からアイスクリームの中に突っ込んだような気がしました。
「近藤さん、いったいどれだけエッセンスを入れたんだい?」
僕が尋ねますが、近藤さんは笑い転げて答えてくれません。
かくして、ネコ掃討作戦は、バニラの香りとともに失敗に終わったのでした・・・

後日、ネコが集まっていた原因は近所の住人が駐車場の中で、ネコたちにエサをやっていたのが原因だったと分かりました。
うちの店にネコを何とかしてくれと頼みに来た人も、そのことは分かっていたようです。
だったら直接言えばいいようなもんですが角が立つのを恐れて、うちに抗議してきたということらしいです。
エサやりを止めてもらうようにしてもらうと、徐々に彼らは食料を求めて去っていきました。

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