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2006年6月17日 (土)

HONDAが生み出した優等生ナナハン、VFR750F

VFR750Fは、僕が大型免許をとってすぐに買ってしまったバイクでした。
大型免許を取る前は、合格してもしばらく我慢してお金を貯めてから購入しようと思っていました。
しかし大型免許を取得できた喜びで、試験場からの帰りにバイク屋に飛び込んで注文してしまいました。
SUZUKIの逆輸入車、GSX-R1100とどちらにしようか迷いましたが、VFR750Fにしました。
いきなりリッターバイクもどうかと思ったのと、ちょうどマイナーチェンジがあって、タンクの形が不細工になってしまい、カラーリングも気に入らなかったのでVFR750Fにしました。
この選択は、所有する喜びという点では間違っていたかもしれません。
GSX-R1100は乾燥重量197kg、対するVFR750Fは199kgです。
取り回しという点では大差ありません。
ただ、GSX-R1100の方が、足つき性が悪く、ポジションが前傾姿勢で長距離ツーリングには不向きでした。
パワーはGSX-R1100が130ps、VFR750Fが77ps。
VFR750Fは国内仕様なので77psでした。
北米仕様は100psだったと思います。
パワーでは勝負になりません。
この点では、購入後多少後悔しました。
しかし、色んな点でVFR750Fはバランスの取れたマシンだったと思います。
なにしろ、

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所有した2年間の間に一度も転倒しませんでした。
まあ、免許取り立ての頃に比べれば乗り方もおとなしくなっていたせいもあるでしょう。
90度V型4気筒エンジンはもともと重心が低く、かつ後ろ側の2気筒が車体の中心近くに質量を持って行くため、とても素直な運動性だったと思います。
直進安定性は抜群でした。
かといってツアラータイプの重量級のマシンにありがちな、コーナーで曲がらないということもなく、軽く挙動を与えるだけですぐにバンクに入ってくれる扱いやすいバイクでした。
まあその分、面白みがないとも言えるんですが・・・
その、VFR750Fで一度だけ冷や汗をかいたことがあります。

都下H市の国道をアルバイト先に向かっていた時のことです。

季節は秋、10月、午前6時。
天候晴れ、気温15度、路面状態ドライ。
片道2車線、中央分離帯あり。
直線見通し良好、進行方向、信号グリーン。
3速、7000回転、時速90km。

出勤時間まで、後10分と迫っていた僕は急いでいました。
前方に横断歩道が見えました。
中央分離帯のところに人間の姿がありました。
横断中に信号が変わって立ち往生したのだろうと思いました。
そして、その人は犬を連れていました。
僕は当然、信号が青に変わるまでそこで待っているものだと思っていました。
しかし、その人がどうやら高齢であることが分かるくらいに近づいた時です。
犬が車道に出てきました。
どうやら、リードを繋いでいないらしい、と思った瞬間老人が愛犬の後を追って車道に出てきました。
悪いことに犬は飼い主の老人の声に振り返り、あと少しで渡りきるというところで止まってしまいました。
老人の方も、こちらのバイクが考えたいたより近づいていることに気づき、3分の一ほど渡ったところで立ち止まりました。
道路を、ちょうど三等分するような形で、犬と老人が立ち止まってしまいました。
僕には、彼らが次の瞬間、前に進むのか後ろに下がるのか分かりません。
スピードを考えれば減速するより、横をすり抜けた方が安全なのですが、道路を分断され、しかも前後どちらに動くのか分からない状態ではどこを抜ければいいか予想できません。
バイクは機構上、直進状態でなければ急制動はかけられません。
転倒の危険性があります。
そして、前輪をロックさせればその瞬間に即、転倒です。
ロックする前兆を感じ取ることができて、ロックと同時にブレーキレバーを緩めることができれば転倒は免れられます。
しかしパニック状態では、ほぼ不可能です。
前輪のロックは、柔道の足払いをかけられたように、考える間もなく路面に叩きつけられることになります。
僕は、最も安全と思われる方向に進路を向け、ブレーキレバーを握りました。
最初は軽く握り、慣性で前方に移った過重がフロントフォークを沈み込めるのを感じ取ります。
ここで一気に力を入れすぎると、限界まで沈み込んだフロントフォークは、路面の凹凸を吸収できなくなり前輪が暴れ出します。
前輪が跳ね上がれば接地力を失い、抵抗のなくなった前輪はロックします。
再びタイヤが接地した時は、転倒です。
しかし、少しでもスピードを落とすには、ブレーキレバーを強く握り込むことが必要です。
もう一つ問題がありました。
VFR750FにはTRAC(ブレーキトルク対応型アンチダイブ機構)が装着されていました。
ブレーキをかけた時に、フロントが沈み込むのを抑えて姿勢を保つ仕組みでした。
これは、普通のブレーキ時であれば良いのですが、限界ブレーキ時には仇となりました。
TRACは、フロントフォークがブレーキ時の慣性によって沈み込むのを防ぐ為に、サスペンションを固くするわけです。
すると、実際にはフロントフォークが沈み込んでいないのに、沈み込んだのと同じ状態になり、フロントが暴れ出します。
制動力を、感覚的に言えば「ぐいー」っと効かせたいのに、ガツガツとひっかかったような効かせ方になってしまいます。
この振動は、転倒の危険性を予感させるので、非常に怖いです。
「そのまま、動かないでくれ! 犬とご老人」
心の中で僕は、そう叫んでいました。
完全に止まりきることは既にあきらめていました。
その時です。
ご老人は、思考停止したらしく、その場に立ちつくしていましたが、犬の方が飼い主の方に向かって引き返し始めました。
道路の、左側が開けました。
通り抜けるべきコースが、僕に示されました。
僕は握り込んだブレーキレバーを離しました。
フロントサスペンションが、押さえつける力から解放されて反動で前輪が暴れだすのを防ぐ為、僕はスロットルを開けました。
後輪に駆動力が伝わり、加速力がフロントを持ち上げ、前輪の過重を抜きます。
過重の抜けた前輪は暴れることはありませんでした。
僕とVFR750Fは、老人と犬の横を加速しながら無事にすり抜けました。
時間にすれば、ほんの数秒のことでしたが、今思い出してもぞっとします。
一瞬のうちに僕が、ほぼベストと思える判断をすることができたのは奇跡的でした。
なぜなら、僕はそんなに優秀なライダーではないからです。
VFR750Fに助けられたと思います。
これが仮に、GSX-R1100に乗っていたとしたら、結果はおそらく違っていたと思います。
僕の体か、ご老人の体か、あるいはその愛犬の体に、不幸な事態が訪れていたかもしれません。
しかしそれ以来、交通量の少ない早朝などは、逆に注意して運転するようになりました。
今でも、その姉妹車が白バイとして活躍しているVFR750F・・・
もう一度乗ってみたいバイクです。

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